2012年8月8日水曜日

Puff, The Masic Dragon


かつて大ヒットしたアメリカのフォークソングが、日本の小学校の教科書に取りあげられていたとは露知らず。最近、由紀さおりさんのアルバムで知り得、頻繁に聴くようになりました。ベトナム戦争時代に歌われたため、麻薬撲滅や反戦の隠喩があるのではと取り沙汰されたとか。ステージ上からは‘子どもの成長に関する歌’と一貫したアピールがされ続けたそうですが、動画後半にあるように、会場全体で唱和する様子に、世代を超えて歌い継がれてきたことが伺えます。「どんなに愉しくても別れを告げる時がくる」友達と別れ、独り魔法の世界にいるドラゴンを想うと、切なく響くメロディです。

【曲紹介】
◯作詞:レオナルド・リプトン Leonard Lipton、作曲:ピーター・ヤロウ Peter Yarrow

◯ピーター・ポール&マリーのメンバー、ピーター・ヤロウの学友だったレオナルド(1959年当時19歳)がオグデン・ナッシュ (Ogden Nash) の詩 『Custard the Dragon』の一節 "Really-O, Truly-O, little pet dragon." に触発されて物語を作り、それを聴いた学友のピーターが、詩のような物語に歌詞を加えたりして作曲したと伝えられている。

◯1961年からピーター・ポール&マリー(Peter Yarrow、Noel Paul Stookey、Mary Travers)の曲として演奏されるようになり、1963年にレコーディングされ、大ヒットした。

◯Puffという名前は、龍の鳴き声に由来しているとか。

◯"Puff the Magic Dragon" は、ベトナム戦争においてAC-47/AC-130攻撃機を指す米軍のスラングにもなったという。ヒッピーの聖歌との噂が流れ、ドラッグ・ソングと曲解され、マリファナ所持に極刑を科すシンガポールでは放送禁止にまでなったというから、若者への浸透度が凄まじかったと想定される。

◯1985年10月9日にナッシュピルで行なわれた25周年コンサートで、ピーター自らが「歌詞の解釈に誤解があるようだが、他意はない。子どもの成長の歌だ」とコメントしている。

◯アメリカでは、1978年から、この曲を題材にとったアニメシリーズが放映されていたらしい。パフの声はバージェス・メレディス Burgess Meredith。

◯日本では、小学校の音楽教科書に掲載され、また幼児向け番組で動画が放映されたりしたため、馴染みのある人も多い。1990年代中頃には、CMでも起用された。

◯由紀さおりがピンク・マルティーニと共演して話題となったアルバム『1969』に、一部日本語詞・一部英語詞で歌う同曲が収録されている。

【歌詞】
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Little Jackie Paper loved that rascal Puff
And brought him strings and sealing wax and other fancy stuff, oh
魔法の龍 名前はパフ
海の近くに暮らしてた
遊び場はホナリーって所
秋の霧が立ちこめてた
少年の名はジャッキー・ペーパー
いたずらばかりのパフが大好き
ヒモやら、ロウやら、おもちゃやら
何かを持ってきては
いつもパフに会いにやって来た

Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
パフは魔法の龍
海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめる
ホナリーってところで遊んでいた

Together they would travel on boat with billowed sail
Jackie kept a lookout perched on Puff's gigantic tail
Noble kings and princes would bow whene'er they came
Pirate ships would lower their flags when Puff roared out his name, oh
パフとジャッキーはいっしょに旅に出た
帆をいっぱいに張った船に乗って
ジャッキーは見張り番さ
パフの大きな尻尾にちょこんと座って
どこへ行っても歓迎された
王様と王子様だって会えばうやうやしく挨拶したものさ
パフが大きな声で吠えるように名前を告げれば
海賊船だって白旗を上げたんだ

Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
パフという名の魔法の龍
海のそばに住んでてね
秋の霧が立ちこめる
ホナリーと呼ばれるところで遊んでいるよ

A dragon lives forever, but not so little boys
Painted wings and giants's rings make way for other toys.
One grey night it happened, Jackie Paper came no more
And Puff that mighty dragon, he ceased his fearless roar
龍の命は永遠だけど
少年は子どものままではいられない
色づけした羽根や大きな輪っかは
別のおもちゃに変わっていく
ついにその時がやってきた
暗くなるまで待ったけど
ジャッキーはとうとうパフのところに来なかった
勇ましかったパフだけど
それから大声をあげなくなった

His head was bent in sorrow, green scales fell like rain
Puff no longer went to play along the cherry lane.
Without his lifelong friend, Puff could not be brave
So, Puff that mighty dragon sadly slipped into his cave, oh
パフは悲しみでうなだれて
緑の鱗を流して泣いた
大好きだった桜の道にも行かなくなった
大切な友達がいなくなったんだもの
もう勇気も奮い起こせない
パフは強い龍
だけど悲しそうにほこらに帰っていった

Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
パフという魔法の龍がいるんだよ
海のそばに住んでいるのさ
ホナリーというところ
愉しそうに遊んでいるよ
秋に霧がたなびくところ


※絵本の「魔法のドラゴン パフ」では、歌詞のその後も描いていて、最後は小さな女の子がパフの元を訪れるとか。喜ぶパフ、そして大人になったジャッキーが陰からその様子を見ているのだそうです。




0 件のコメント:

コメントを投稿