2012年8月15日水曜日

Eve of Destruction.


チェルノブイリ原発事故以降、プロテストソングを積極的にカバーし続けた忌野清志郎率いるRCサクセション。♪でもよぉ〜何度でも何度でも俺らに言ってくれよ、世界が破滅するなんて嘘だろう♪が耳に残っています。元歌は、1965年、全米ナンバーワンヒットを記録したプロテスト・フォークロックの代表作。公民権運動、冷戦、ベトナム、核軍拡競争...。ボタン1つで世界が破滅するかもしれないという不安と恐怖が、日々現実に迫り来ていた時代。それが、“過去”であったいうのはまやかしで、実は今も隣合せなのだと実感させられる日本です。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、 P. F. Sloan、歌唱:Barry McGuire(ニュー・クリスティ・ミンストレルズNew Christy Minstrelsの一員)。リリースは1965年。スローンは本名のフィル・スローンで通していたが、渾名がフリップで、フィリップ・フリップ・スローンを縮め、芸名としてP.F.スローンを名乗るようになった。

◯シングルの大ヒットを受けて、マグワイアのソロ・デビューアルバム『Eve of Destruction』も制作された。ボブ・ディランBob Dylan の 『Masters of War 戦争の親玉』他を収録。プロデューサーは、ルー・アドラーLou Adler、スローン、そしてスローンとコンビを組んでいたスティーヴ・バリSteve Barri。アドラー自身が経営していたダンヒル・レコードからリリース。

◯フーテナニー(※)の眼から見た、核戦争後の恐怖を描いた歌との事だったが、であるが、当時は内容が強烈であるという理由で放送禁止になったとか。だが、その事で、返って民衆の関心を引き、No.1を獲得したという。多くのアーティストが、カバーしている。

◯日本では、まず高石友也がカバー。 『フォーク・アルバム第3集「坊や大きくならないで」』(1969年)に「明日なき世界」として収録。 ちなみに、同アルバムの収録曲は、
「坊や大きくならないで 」「 お捨てメリンダ 」「竹田の子守唄 」「 ハッシュ・リトル・ベビィ」「  血まみれの鳩 」『 明日なき世界 』「 ランブリン・ボーイ 」「 北の国へ」 「 労務者とは云え」「  おいで僕のベッドに」「 ときは流れる 」「 青年は荒野をめざす」「 もしも平和になったなら」

◯1990年、RC サクセションがカバー。忌野清志郎が、高石ともや訳を尊重しつつ、自身の声やバンドに合わせて訳。アルバム『カバーズ』に収録。

◯スローン&バリの曲は、ママス&パパスの「You Baby」、フィフス・ディメンションの「Another Day, Another Heartache」、タートルズの「Let Me Be」、ジョニー・リヴァースの「Secret Agent Man」他。グラス・ルーツという名義で、「Where Were You When I Needed You」。


【歌詞】
The eastern world it is explodin',
violence flarin', bullets loadin',
you're old enough to kill but not for votin',
you don't believe in war, what's that gun you're totin',
and even the Jordan river has bodies floatin',
but you tell me over and over and over again my friend,
ah, you don't believe we're on the eve of destruction.
東方の世界では爆発的に増えている
燃え上がる暴力、装てんされる弾丸
君たちの歳なら殺しはもうできる、投票はまだだけどな
君らは戦争信者ではないだろうが
かかえた銃で何かができると信じている
ヨルダン川にさえ死体が浮くご時勢だ
そして君らは僕に
繰り返し繰り返し言うんだ
世界が明日滅びるかもしれない、なんて
信じないと

Don't you understand, what I'm trying to say?
Can't you see the fear that I'm feeling today?
If the button is pushed, there's no running away,
There'll be noone to save with the world in a grave,
take a look around you, boy, it's bound to scare you, boy,
but you tell me over and over and over again my friend,
ah, you don't believe we're on the eve of destruction.
僕の言いたいことが理解できないのかい?
僕が今日いま恐怖を感じているのがわからないのかい?
ボタンが押されたら最後、逃げ場なんてないんだ
全世界が墓になっちゃって、助ける人すらいなくなるんだ
自分の周りをちゃんと見てみなよ、ぞっとするぜ
それでも君たちは僕に
繰り返し繰り返し言うんだ
世界が明日滅びるかも知れないなんて、
信じないと

Yeah, my blood's so mad, feels like coagulatin',
I'm sittin' here, just contemplatin',
I can't twist the truth, it knows no regulation,
handful of Senators don't pass legislation,
and marches alone can't bring integration,
when human respect is disintegratin',
this whole crazy world is just too frustratin',
and you tell me over and over and over again my friend,
ah, you don't believe we're on the eve of destruction.
僕の血は怒りで沸騰して固まっってしまったみたいさ
僕はここに座ってただ見ているだけなんだ
真実をねじまげて言うなんてできないよ、
もう規則すらないんだ
一握りの上院議員たちのせいで法案は通らない
デモ行進しただけじゃ世界統一なんかできない
人権の尊重なんて崩壊してる
この狂った世界にはイライラするばかりさ
それでも君たちは僕に
繰り返し繰り返し言うんだ
世界が明日滅びるかも知れないなんて、
信じないと

Think of all the hate there is in Red China!
Tehn take a look around to Selma, Alabama!
Ah, you may leave here, for four days in space,
but when your eturn, it's the same old place,
the poundin' of the drums, th pride and disgrace,
you can bury your dead, but don't leave a trace,
hate your next-door-neighbour, but don't forget to say grace,
and you tell me over and over and over and over again my friend,
ah, you don't believe we're on the eve of destruction.
憎しみの生んだものをすべて思い出してみなよ、
赤い旗の中国とかさ
そしてアラバマ州セルマ(*)で何が起きているか見て回るといい
そうだな、4日くらい宇宙に逃げるって手もあるな
でも、前とまったく同じ場所に戻ってくるしかない
戦いのドラムが響き、高慢と恥辱を教え込む
殺した死体は埋めてもいいが、痕跡を残すなよ
隣人を憎悪しろ、でも、神に祈るのは忘れるな
それでも君たちは僕に
繰り返し繰り返し言うんだ
世界が明日滅びるかも知れないなんて、
信じないと

※フーテナニー(hootenanney)
休みの日になると若者たちが集まってきて、
「こんな歌を作ってみたんだけど」と一人が歌いだす。
それが終わると
「じゃこの歌、知ってる?」と、別の誰かがギターを弾く。
ある者は伴奏に加わり、ある者はコーラスをつける。
そんな調子で曲や歌詞が練られ、完成していく
そんな歌の集団製作の現場をフーテナニーと称した。

※アラバマ州セルマでは、黒人公民権を求め行進する市民を、警官隊が襲うという事件が起きていた。



【高石友也・忌野清志郎による日本語詞
東の空が燃えてるぜ
大砲の弾が破裂してるぜ
おまえは殺しの出来る年齢
でも選挙権もまだ持たされちゃいねえ
鉄砲かついで得意になって
これじゃ世界中が死人の山さ

でもよぉー何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ、
嘘だろ

感じねえかよ、このいやな感じを
一度ぐらいはテレビで見ただろ
ボタンが押されりゃそれで終わりさ
逃げ出す暇もありゃしねえ
見ろよそこの若いの、よく見てみろよ
びくびくするのも当たり前さ

でもよぉー何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ、
嘘だろ

奴らは俺がおかしいと言う
でも本当のことは曲げられやしねえ
政治家はいつもゴマカシばかり
法律で真実は隠せやしねえ
そりゃデモをするだけで平和がくるなんて
甘い夢など見ちゃいねえさ

でもよぉー何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ、
嘘だろ

狂ってきたこの世は騒がしいぜ
こんなとこからは逃げるに限る
一週間ほど宇宙旅行に
でも戻ってくる場所は元の故郷
進軍ラッパが闇の中に響く
潜水艦が、ジェット機が、国を取り巻く

でもよぉー何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ、
嘘だろ



2012年8月8日水曜日

Puff, The Masic Dragon


かつて大ヒットしたアメリカのフォークソングが、日本の小学校の教科書に取りあげられていたとは露知らず。最近、由紀さおりさんのアルバムで知り得、頻繁に聴くようになりました。ベトナム戦争時代に歌われたため、麻薬撲滅や反戦の隠喩があるのではと取り沙汰されたとか。ステージ上からは‘子どもの成長に関する歌’と一貫したアピールがされ続けたそうですが、動画後半にあるように、会場全体で唱和する様子に、世代を超えて歌い継がれてきたことが伺えます。「どんなに愉しくても別れを告げる時がくる」友達と別れ、独り魔法の世界にいるドラゴンを想うと、切なく響くメロディです。

【曲紹介】
◯作詞:レオナルド・リプトン Leonard Lipton、作曲:ピーター・ヤロウ Peter Yarrow

◯ピーター・ポール&マリーのメンバー、ピーター・ヤロウの学友だったレオナルド(1959年当時19歳)がオグデン・ナッシュ (Ogden Nash) の詩 『Custard the Dragon』の一節 "Really-O, Truly-O, little pet dragon." に触発されて物語を作り、それを聴いた学友のピーターが、詩のような物語に歌詞を加えたりして作曲したと伝えられている。

◯1961年からピーター・ポール&マリー(Peter Yarrow、Noel Paul Stookey、Mary Travers)の曲として演奏されるようになり、1963年にレコーディングされ、大ヒットした。

◯Puffという名前は、龍の鳴き声に由来しているとか。

◯"Puff the Magic Dragon" は、ベトナム戦争においてAC-47/AC-130攻撃機を指す米軍のスラングにもなったという。ヒッピーの聖歌との噂が流れ、ドラッグ・ソングと曲解され、マリファナ所持に極刑を科すシンガポールでは放送禁止にまでなったというから、若者への浸透度が凄まじかったと想定される。

◯1985年10月9日にナッシュピルで行なわれた25周年コンサートで、ピーター自らが「歌詞の解釈に誤解があるようだが、他意はない。子どもの成長の歌だ」とコメントしている。

◯アメリカでは、1978年から、この曲を題材にとったアニメシリーズが放映されていたらしい。パフの声はバージェス・メレディス Burgess Meredith。

◯日本では、小学校の音楽教科書に掲載され、また幼児向け番組で動画が放映されたりしたため、馴染みのある人も多い。1990年代中頃には、CMでも起用された。

◯由紀さおりがピンク・マルティーニと共演して話題となったアルバム『1969』に、一部日本語詞・一部英語詞で歌う同曲が収録されている。

【歌詞】
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Little Jackie Paper loved that rascal Puff
And brought him strings and sealing wax and other fancy stuff, oh
魔法の龍 名前はパフ
海の近くに暮らしてた
遊び場はホナリーって所
秋の霧が立ちこめてた
少年の名はジャッキー・ペーパー
いたずらばかりのパフが大好き
ヒモやら、ロウやら、おもちゃやら
何かを持ってきては
いつもパフに会いにやって来た

Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
パフは魔法の龍
海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめる
ホナリーってところで遊んでいた

Together they would travel on boat with billowed sail
Jackie kept a lookout perched on Puff's gigantic tail
Noble kings and princes would bow whene'er they came
Pirate ships would lower their flags when Puff roared out his name, oh
パフとジャッキーはいっしょに旅に出た
帆をいっぱいに張った船に乗って
ジャッキーは見張り番さ
パフの大きな尻尾にちょこんと座って
どこへ行っても歓迎された
王様と王子様だって会えばうやうやしく挨拶したものさ
パフが大きな声で吠えるように名前を告げれば
海賊船だって白旗を上げたんだ

Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
パフという名の魔法の龍
海のそばに住んでてね
秋の霧が立ちこめる
ホナリーと呼ばれるところで遊んでいるよ

A dragon lives forever, but not so little boys
Painted wings and giants's rings make way for other toys.
One grey night it happened, Jackie Paper came no more
And Puff that mighty dragon, he ceased his fearless roar
龍の命は永遠だけど
少年は子どものままではいられない
色づけした羽根や大きな輪っかは
別のおもちゃに変わっていく
ついにその時がやってきた
暗くなるまで待ったけど
ジャッキーはとうとうパフのところに来なかった
勇ましかったパフだけど
それから大声をあげなくなった

His head was bent in sorrow, green scales fell like rain
Puff no longer went to play along the cherry lane.
Without his lifelong friend, Puff could not be brave
So, Puff that mighty dragon sadly slipped into his cave, oh
パフは悲しみでうなだれて
緑の鱗を流して泣いた
大好きだった桜の道にも行かなくなった
大切な友達がいなくなったんだもの
もう勇気も奮い起こせない
パフは強い龍
だけど悲しそうにほこらに帰っていった

Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
Puff, the magic dragon, lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called Honalee.
パフという魔法の龍がいるんだよ
海のそばに住んでいるのさ
ホナリーというところ
愉しそうに遊んでいるよ
秋に霧がたなびくところ


※絵本の「魔法のドラゴン パフ」では、歌詞のその後も描いていて、最後は小さな女の子がパフの元を訪れるとか。喜ぶパフ、そして大人になったジャッキーが陰からその様子を見ているのだそうです。




2012年7月7日土曜日

Stay Gold


現在放映中のドラマ『はつ恋』。互いを想えばこそ、声にしてしまった言葉と口に出来なかった言葉。「会わない」と決めた女性と「会えない」と諦めた男性が、突然再会します。そんな主人公二人の若き日、出逢いのきっかけとなった歌が、「スティービー・ワンダーのStay Gold」。それぞれにとっては、あまりにも苦く辛い現実が、人生で最も愛おしい財産に感じられる、それが青春時代なのかもしれません。時は移ろい、眼に映る何もかもが色褪せていくとしても、同じ想い出を持つであろう人からの「輝き続けてほしい」というメッセージでもある歌。シンプルな言葉が夕陽のように沁みこんできます。

【曲紹介】
◯フランシス・フォード・コッポラ監督作品『アウトサイダー』の主題歌。日本での公開は1983年8月27日。2005年、未公開シーンを大幅に加え、サウンドトラックも一新した113分のディレクターズカット版が製作され、舞台となったタルサでプレミア公開された。

◯作曲は、カーマイン・コッポラCarmine Coppola(監督の父) 作詞と歌唱は、スティービー・ワンダーStevie Wonder。

◯『アウトサイダー』の原作者は、オクラホマ州タルサ出身の15歳の高校生。校内で反響を呼び、コッポラに映画化を望む運動まで起こったという。コッポラがこの動きに応え、小説を読み「若者だけのためではなく青春を過ごしたすべての人々のための作品」と確信し、撮影に臨んだという。

◯シングル・レコードとしては発売されず、オリジナル・アルバムにも収められていない、いわばスティーヴィー・ワンダーの“隠れた名曲”。

【歌詞】
Seize upon that moment long ago
One breath away and there you will be
So young and carefree
Again You will see
That place in time so gold
つかまえにいこう 遠い昔のあの瞬間
ほんの一瞬で浮かんでくる あの頃の君
とても若く 屈託のない君
そして 見えてくる
あの場所 その時 輝いていた君

Steal away into that way back when
You thought that all would last forever
But like the weather
Nothing can ever and be in time
Stay gold
遠いあの頃に 逃れていきたい
すべてが永遠に続くと信じていた あの頃に
でも空模様のように
時の中に変らないものなど何もない
輝いていたものさえ

But can it be.
When we can see
So vividly
a memory
And yes you say so must the day
Too, fade away and leave a ray of sun
So gold
だけど見える
僕たちの思い出
こんなにも鮮やかに
憶えている
そして 君は言う
陽が沈み
一日が終わりを告げるように
あの頃は はるか遠くに消えた
夕陽が後に留める一筋の光のような
金色の輝きを残して

Life is but a twinkling of an eye.
Yet filled with sorrow and compassion.
Though not imagined
All things that happen
will age too old
Though gold
人生はまたたく間に過ぎていく
なのに 哀しみと憫れみにあふれている
想像もできないような
この世のものは皆
あまりにも早く古くなっていく
たとえ輝いているものでも

Stay gold
輝くままに

※『アウトサイダー』原作、そして映画に引用されたロバート・フロスト(Robert Frost,1874-1963)の詩

"Nothing gold can stay"

Nature's first green is gold,
Her hardest hue to hold.
Her early leaf's a flower;
But only so an hour.
Then leaf subsides to leaf.
So Eden sank to grief,
So dawn goes down to day.
Nothing gold can stay.

“訳者知らず”
何ものも 輝きを留めず

黄金色に輝く 萌えいずる緑
うつろい易き色よ
萌えいずる葉は花
それも一瞬
やがて葉は葉に戻り  
エデンは悲しみに沈み
暁は今日に変わる
黄金のままではいられない 

◇中田耕治氏の訳
輝きに留まらず

みどりなす自然の いぶき
きびしいさけびを秘めて 純金
芽吹く葉は 花ひとつ
だが それも たまゆら
やがて葉は葉と落ちて
エデンの園は 悲しみにしずみ
かくて夜明けは 日に移る
輝くものは輝きのままに留まらず

◇清水真砂子氏の訳
ひとつとして黄金のままいられるものはない

誕生のとき、緑は黄金、
すぐに消えてなくなる色。
誕生のとき、葉は花、
だが、それも一刻のこと。
やがて、葉は葉。
エデンは悲しみの園と化し、
暁も昼に変わる。
ひとつとして黄金のままいられるものはない。


◇唐沢則幸氏の訳
輝きは永遠(とわ)には続かず

自然の最初の芽吹きは金、
最もとどめ難きその色合い。
萌え出づる若葉は花、
なれどそれもわずか一刻。
やがて葉は葉へと戻り、
エデンは悲しみに沈み、
暁は昼へとうつろう。
輝きは永遠(とわ)には続かず 

2012年6月25日月曜日

There Must Be More To Life Than This




マイケルは、Queen を初めて聴いた日からフレディ・マーキュリーの大ファン。水色のジャケットを着たマイケルがフレディを見つめる眼は、フレッド・アスティアを見る眼と同じ。心から尊敬していることが伺える表情をしています。共に仕事をしたいと願い、マイケルの自宅にてフレディのピアノでデモ録音(1983)。マイケルのソロヴァージョンも残されていますが、曲に籠めた愛を伝えたい一心のフレディと、敬愛する人に心を配りながら優しく謳い上げるマイケル、完璧な録音ではないからこそ、それぞれの心情がナマで伝わってくるように感じます。歌詞とパートが微妙に違う2つのヴァージョンを記します。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、フレディ・マーキュリーFreddie Mercury。邦題は「生命の証」。フレディの最初にして唯一のソロアルバム『Mr. Bad Guy』(1985)所収。

◯元々は、Queenのアルバム『Hot Space』のために作っていたと言われている。

◯1983録音の音源は、ジム・ビーチに管理され、マイケルのソロは海賊版扱いのQUEEN 『BURIED TREASURES』に収録されている。

◯『The Works 』に収録されているフレディとブライアンの共作曲「This The World We Created...?」(邦題『悲しき世界』)はこの曲が元になっているといわれている。

【歌詞】
Take①(録音順ではなく、上動画)
There must be more to life than this
There must be more to life than this
How do we cope in a world without love
Mending all those broken hearts
And tending to those crying faces
こんな人生ではないはずだ
人生にはもっと意味があるはずだ
愛無くして 
どうやってこの世界で生きていかれるというのだろう
失意の底にある全ての人々の心を癒し
泣いている顔から涙を拭えるのは
愛しかないのではないか?

There must be more to life than living
A better way for us to survive
Why should it be just a case of black or white.
There must be more to life than this.
人生には生活していくこと以上に意味があるはずだ
もっといい生き抜き方があるはずだ
大切なことを白か黒かと決めつけて何の意味があるんだ
白人だの黒人だのと言っている場合ではないんだ
人生には大切なものがあるはずなんだ

Why is this world so full of hate
People dying everywhere
And we destroy what we create
People fighting for their human rights
But we just go on saying c'est la vie
So this is life
どうしてこの世はこんなにも憎しみに溢れているのか
至る所で大勢の人々が死にかけているのか
人間は造っては破壊しの繰り返し
生きる為の最低限の人権のために闘っている人々もいるというのに
でも僕らはただこう言って諦めてしまう “セ・ラ・ヴィ”
“そう、人生なんてこんなものさ”と

There must be more to life than killing
A better way for us to survive
What good is life, in the end we all must die
Then we can all just live in peace
生命を奪うより大切なことがあるはずだ
人間が生存していくためにはもっといい方法があるはずだ
皆いずれ死ぬとしても
人生は素晴らしいものなんだ
皆が平和に暮らしていかれるはずなんだ

There must be more to life than this
There must be more to life than this
I live and hope for a world filled with love
Then we can all just live in peace
There must be more to life,
much more to life
There must be more to life,
more to life than this.
もっと多くの命が尊ばれなくてはならない
今よりもっと命が活かされなければならない
愛で満たされた世界を夢みて 僕は生きている
それでこそ僕らは皆平和に生きることができるのだから
より多くの人が輝ける人生を歩まなければ
もっともっとたくさんの人が輝く人生を生きられるように
人生にはもっと大切な意味があるはずだ
今よりもっと大きな意味のある生き方ができるはずだ

TAKE②
There must be more to life than this
There must be more to life than this
How do we cope in a world without love
Mending all those broken hearts
And tending to those crying faces
人生にはもっと意味があるはずが
人の命にはもっと意味があるはずだ
この世界を何とかしようと思うなら、
その方法は愛しかない
悲嘆にくれる人々の心を癒し
涙を拭えるのは
愛だけだ

There must be more to life than killing
There must be more than meets the eye
Why should it be in a world without children
There must be more to life than this
人生にはただ生きること以上に意味があるはずだ
目に映る以上のものを感じ取らなければ
どうして子供たちを抜きにして世界を捉えたりするんだ
人生にはもっと大切なものがあるはずなんだ

Why is this world so full of hate
People dying everywhere
And we destroy what we create
People fighting for their human rights
But we just go on saying c'est la vie
So this is life
どうしてこの世はこんなにも憎しみに溢れているのか
至る所で大勢の人々が死にかけているのか
人間は造っては破壊しの繰り返し
お互いの権利のために闘っているうちに終わりがきて
ただこう言ってしまう “セ・ラ・ヴィ”
“そう、人生なんてこんなものさ”と

There must be more to life than killing
A better way for us to survive
What good is life, in the end we all must die
There must be more to life than this
生命を奪うより大切なことがあるはずだ
人間が生存していくためにはもっといい方法があるはずだ
皆いずれ死ぬとしても
人生は素晴らしいものなんだ
多くの命がもっと大切にされなくければならないんだ

There must be more to life than this
There must be more to life than this
I live and hope for a world filled with love
Then we can all just live in peace
There must be more to life,
much more to life
There must be more to life,
more to life than thisQ
もっと多くの命が尊ばれなくてはならない
今よりもっと命が活かされなければならない
愛で満たされた世界を夢みて 僕は生きている
それでこそ僕らは皆平和に生きることができるのだから
より多くの人が輝ける人生を歩まなければ
もっともっとたくさんの人が輝く人生を生きられるように
それぞれの命にはもっと大切な意味があるはずだ
今よりもっと多くの人々の命や生活を大切にできる人生を生きよう


※マイケルとフレディについての不仲説(フレディの曲がマイケルのアルバムに採用されなかったから云々、フレディが薬物を使用していたから云々、マイケルがフレディの金銭にまつわる発言に怒りを覚えた云々等多数)には、全く根拠がありません。二人は直接会う事がなくても互いを尊重し合っていたと考えられます。マイケルは、スリラー録音時頃から白班症状が悪化し、フレディの死後マイケルに関するメディアの偏向報道は激しさを益していきました。

<マイケルについてのフレディの発言>
「僕なんかは、彼の気持ちを考えるだけで辛くなるよ。彼って謎めいているだろう?だからこそメディアは、彼を神の申し子みたいに持ち上げたかと思うと、あることないこと書き立てたりする。彼ならどんな事も‘ありえる’って思えるからだよ。でも本当の彼はすごくシャイでね。とにかく僕がじかに知っている彼は、とても素晴らしい、優しい、そして才能あふれた人。それだけだ。」〜フレディ・マーキュリー『A LIFE,IN HIS OWN WORDS』


<デモ録音についての証言>
「1983年ある夏の日、エンシノにある自宅にフレディは招かれた。マイケルは自分の家を誇りにしており、新築のチューダー式の大邸宅の楽しそうに案内してくれた。フレディの印象に残ったのは、『スリラー』のトリプル・プラチナ・ディスクの飾り方だった。それはただ寝室の壁によりかけられているだけだった。訪れた最大の目的は録音で、自宅のスタジオでフレディはピアノを弾くことになった。このセッションのきっかけは、マイケルがアルバム 「ビクトリー」用の曲に何か趣向をこらしたいと思ったことに端を発していた。ふたりはその日の午後、3曲分のセッションを行った。曲は「ビクトリー」、「ステイト・オブ・ショック」、そして3曲目は後にフレディのソロ・アルバム「Mr.バット・ガイ」に収録された「生命の証」だった。」〜『フレディ・マーキュリー 華麗なるボヘミアン・ラプソディ』著者ピーター・フリーストーン(パーソナル・アシスタントとしてフレディを公私共に支えた人物)他                 



2012年6月20日水曜日

I Will


『邂逅』(1939)『めぐり逢い』(1957)『「めぐり逢えたら』(1993)」に続き、ウォーレン・ビューティが製作した『めぐり逢い(1994)』。現代風にアレンジされ過ぎた部分もありましたが、★キャサリン・ヘプバーン、レイ・チャールズが出演!★撮影は『明日に向って撃て!』のコンラッド・ホール(タヒチ生まれ!)、音楽はエンニオ・モリコーネ、衣装は『バリー・リンドン』のミレナ・カノネロと巨匠集結!★ボラボラ島の景観、そして「あなたを束縛したくなかった」と涙ながらに応える★アネット・ベニングが終始とぉーっても美しい!加えて★彼女と子どもたちが唄う『I Will』の場面。ささやかな曲に籠められた金平糖のような愛おしさが引き出されゆくさまを感じさせられました。


【曲紹介】
◯クレジット上の作詞・作曲は、ジョン・レノン&ポール・マッカートニー。1968年に発表されたアルバム『ザ・ビートルズThe Beatles』(通称・ホワイトアルバム)に収録。ポールはリードボーカル、ギター、ベースを担当した。

◯ポールが1967年に出逢ったリンダ・イーストマン(のちの妻)への愛を歌った5曲のうちの最初の1曲と言われている。ちなみに、残りの4曲は、『恋することのもどかしさMaybe I'm Amazed』、『トゥ・オブ・アスTwo of Us』、『ラヴリー・リンダ Lovely Linda』、『マイ・ラヴ My Love』。

◯リンダは離婚歴のある子連れの女性だったため、日本人前衛芸術家のオノ・ヨーコほどではないにしても、ビートルズの相手としてふさわしくないと当時はメディア他にかなり攻撃されたらしい。軽めの曲だが、“I Will ”とは、結婚式での誓いの言葉。リンダを愛し続けたポールの本気度が偲ばれる。

◯ポールと子供たちとの映像は、こちら☞ http://youtu.be/FwAny6XbhzQ

◯映画のワンシーンはこちら☞ http://youtu.be/4WOSnzIGNmY

◯ブルーグラスのフィドラー(バイオリン)だったアリソン・クラウスAlison Kraussの声は、爽やかで心が洗われるよう。まさに天使の歌声!初出はバンジョー奏者Tony Furtadoの1992年発表のアルバム『Within Reach』。彼女の『Now That I've Found You: A Collection』(1995)にも収録されている。Dan Tyminski もギターで参加。http://youtu.be/MEnDMAJDIbI

◯ダイアナ・ロスDiana Rossもカヴァーしている。


【歌詞】
Who knows how long I've loved you
You know I love you still
Will I wait a lonely lifetime
If you want me to, I will
僕がどんなに長く君を愛し続けてきたか
誰にもわかりはしないさ
今ももちろん愛している
一生寂しく待ち続けなければならないとしても
君がそうしろっていうのなら
僕は待つよ

For if I ever saw you
I didn't catch your name
But it never really mattered
I will always feel the same
君の姿を見かけることがあっても
名前を知ることすらなかった
けれど そんなことは大した問題じゃない
いずれにせよ僕の気持ちは変わらない
これから先もずっと同じ気持ちのままだろう

Love you forever and forever
Love you with all my heart
Love you whenever we're together
Love you when we're apart
君を愛し続けるよ、いつまでもいつまでも
心の底から愛し続けるよ
一緒にいるときはいつだって
離れていても、愛し続ける

And when at last I find you
Your song will fill the air
Sing it loud so I can hear you
Make it easy to be near you
For the things you do endear you to me
Ah, you know I will
I will
ようやく君を見つけたときは
君の歌があたり一面に広がっていく
よく聴こえるように大きな声で歌っておくれ
君のそばにいさせてほしい
君のすることすべてが愛おしい
きっと君を愛し続けるよ
約束するよ
きっとさ、きっと




2012年6月17日日曜日

When I Fall In Love


この曲がヒットした1950年代は、今から見れば、のどかな時代。それでも、‘忙しい恋は愛とは言えない’と唄われています。最近は、‘結婚したい’と数日前まで思っていた人に、いきなり平手打ちして悪口雑言の目まぐるしさ。端から見るとコメディですが、ご本人たちは大真面目?!いつの時代も、ゆっくり丁寧な方々と、何も見ずに一目散の方々がいらっしゃるようです。動画は、父ナット・キング・コールの声と父娘共演を果たしたナタリー・コール。自分と父親の気持ちの一致に、暖かき幸福の原点を感じます。

【曲紹介】
◯ 作詞:エドワード・ヘイマンEdward Heyman、作曲ヴィクター・ヤングVictor Young。(邦題:恋におちた時)。ちなみに『Love Letters』もこの二人の共作。

◯1952年映画“ONE MINUTE TO ZERO"(邦題「零 号作戦」)の主題歌として使われた曲。

◯1952年、ドリス・デイDoris Dayが歌って、スマッシュ・ヒット。その5年後の1957年エロール・フリン主演映画『Istanbul』でナット・キング・コールが劇中で歌い大ヒットした。

◯ナット・キング・コールは、アルバム『Love Is the Thing(恋こそはすべて)』に収録。

◯カルメン・マクレイ、カレン・カーペンターやマリリン・モンロー、ダイナ・ワシントン、サミー・デイヴィス・ジュニア、ジュリー・ロンドンなど、多くの人々にカバーされている。また、ビル・エバンスやマイルス・デイヴィスの名演奏も。

◯カレン・カーペンターのヴァージョンはこちら→ http://youtu.be/GWgdCoISwpA ヴァースから、唄っています。とても素直で美しい声です。

◯スティーヴィー・ワンダーの『I Believe』は、『I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)』というように『When I Fall In Love』の出だしの歌詞がそのまま副題で使われており、この曲にインスパイアされたのではないかと推察されている。

◯1993年にヒットしたメグ・ライアンとトム・ハンクス主演の映画『めぐり逢えたら』では、セリーヌ・ディオンがクライヴ・グリフィンと『めぐり逢えたら ~愛のテーマ~』というタイトルでこの歌が使われ、大ヒットしたとのこと。(残念ながら未見)

◯『めぐり逢えたら』(1993)の原型は、『めぐり逢いAn Affair to Remember』(1957)。ラストシーン、自分を差し置いて相手(ケーリー・グラント)を思いやるデボラ・カーの仕草!大和撫子的な健気さに、改めて涙!ダイジェスト映像はこちら→ http://youtu.be/rgI9smpmwiw


【歌詞】
上記動画では、CHORUSのAnd the momentから始め、始めから唄っています。
(VERSE)
Maybe I’m old fashioned, feeling like I do
Maybe I am living in the past
But when I meet the right one
I know that I’ll be true
My first love will be my last
(ヴァース)
おそらく僕の考え方は古いのかもしれない
たぶん僕ははるか古えの時代の人間なのさ
でも、この人こそ、という人にめぐり逢えたら
本当の自分をさらけ出せるだろうね
それが僕の最初で、そして永遠につづく恋になるとわかっているから


(CHORUS)
When I fall in love it will be forever
Or I’ll never fall in love
In a restless world like this is
Love is ended before it’s begun
And too many moonlight kisses
Seem to cool in the warmth of the sun
When I give my heart it will be completely
Or I’ll never give my heart
恋に落ちるとき
それは、永遠に続く愛を意味するもの
そうでなければ恋なんてしない
慌しく、落ち着きのないこの世の中では
恋愛も、始まってもいない内にもう終わり
月夜に交わされる数多くのキスも
あくる日には温かな太陽に照らされて、興ざめとなってしまう
心を捧げるとは
そのすべてを捧げることを意味するもの
それくらい思えないのなら
少しも捧げたりなんてできない

And the moment
I can feel that you feel that way too
Is when I fall in love with you
今この瞬間
君も同じ思いでいると感じられた時が
僕が君と恋に落ちる時

When I give my heart it will be completely
Or I’ll never give my heart
And the moment
I can feel that you feel that way too
Is when I fall in love with you
もし心を捧げるのだったら
この心すべてを捧げたい
でなければ、決して心を差出したりはしない
あなたも私と同じように考えているってわかったなら
その瞬間こそが
あなたとの恋に私が落ちる時


※ ‘fall in love’ は家族や友達に対して使わない言葉で、一般には‘激しい恋’を意味するようですが、お気に入りのモノ等には使うようです。例えば、She has fallen in love with the intricacies of Fellini's films. 
彼女はフェリーニ映画の複雑さに傾倒しています。

2012年5月10日木曜日

I Just Call To Say I Love You

1月から順に風物詩を並べ、特別な日ではないけれど、「ただ‘愛している’と伝えたくて電話したんだ」と唄っています。愛情表現は、特別な日だけに伝えるよりも日常的に伝えてこそ。互いに言葉で愛を確認し合うことで、何でもない1日を価値ある日に自分たちで変換していく大切さを知らされます。care =大切に想っている= love という事も。今でこそ携帯電話で確実に個別に会話できますが、家族を気にかけながら、誤解したりされたり...ベルが鳴るとドキドキした「電話の時代」を懐かしく想います。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、スティービー・ワンダー。映画『ウーマン・イン・レッド』(1984)の主題歌。多重録音により一人で演奏したと言われている。邦題は『心の愛』

◯当時南アフリカで施行されていた人種隔離政策アパルトヘイトに反対し、「いつも貴方を心にかけている」と、ネルソン・マンデラ氏への連帯の気持ちを歌ったとも言われている。

◯商業的には大成功したものの、スティービー・ワンダーの実験的な作品とは全く趣きが異なるため、評論家達には非難されたらしい。


◯2009年6月27日、マイケル・ジャクソンの死から2日後、涙をこらえながら、この曲を詞を変えて'Michael knows, I'm here, and I love you' と歌い、最後に空を指さして、静かに'We love you, Michael'と言った。


【歌詞】(意訳)
No New Year's Day to celebrate
No chocolate covered candy hearts to give away
No first of spring
No song to sing
In fact here's just another ordinary day
新年を祝う元旦という日でもないし
チョコに包んだ甘い気持ちを贈るバレンタインでもない
立春というわけでもないし
特別な歌を用意したわけでもない
正直な話、どうということのない、いつもと同じ日さ

No April rain
No flowers bloom
No wedding Saturday within the month of June
But what it is, is something true
Made up of these three words that I must say to you
急に雨が降り出したわけではないし
綺麗な花が咲いているわけでもない
ジューンブライドの6月だからといって
どこかで結婚式が開かれているわけでもない土曜日さ
だけど何かって言うと、大切なことなんだ
僕って奴は今、3つの言葉でできた本当の事を
どうしても君に言っておきたいんだ

I just called to say I love you
I just called to say how much I care
I just called to say I love you
And I meant it from the bottom of my heart
つまり、「君を愛してる」そう言いたくて電話したんだ
僕がどれだけ君を気にかけているか、それを言うために受話器を取ったのさ
君を愛してるって言うために電話したんだ
僕は心の奥底からそう思っているんだ

No summer's high
No warm July
No harvest moon to light one tender August night
No autumn breeze
No falling leaves
Not even time for birds to fly to southern skies
夏至でもなければ
妙に暖かい7月でもない
柔らかな8月の一夜を照らす満月が見えてるわけでもない
心地よい秋の風が吹き渡っているわけでもないし
落ち葉が舞い落っているということもない
ましてや鳥たちが南の空に飛んで行く時期でもない

No Libra sun
No Halloween
No giving thanks to all the Christmas joy you bring
But what it is, though old so new
To fill your heart like no three words could ever do
天秤座の日でもないし
ハロウィーンでもない
君がもたらしてくれるクリスマスの喜び全てに感謝する日でもない
ただ何て言えばいいのだろう、馴染んでもいるけど新鮮でもある気持ち
3つの言葉で、今までにないほど君の心を満たしたいんだ

I just called to say I love you
I just called to say how much I care, I do
I just called to say I love you
And I mean it from the bottom of my heart
ただ、愛してるよと言いたくて、それで電話したんだ
君を大切に想っていると伝えたかったから
それで電話をしただけなのさ、愛してるよと言いたくて、
心の底から、本当にそう思っている

I just called to say I love you
I just called to say how much I care, I do
I just called to say I love you
And I mean it from the bottom of my heart, of my heart,
Of my heart
君を愛してるって言うために電話したんだ
僕がどれだけ君を気にかけているか言うために電話したのさ
君を愛してるって言うために電話したのさ
それは僕の心の奥底から言ったんだよ、僕の心の
僕の心のね

No New Year's Day to celebrate
No Chocolate covered candy hearts to give away
But what it is, is something true
Made up of these three words that I must say to you
元旦でもなければバレンタインでもない
だけどそれが何かって言うと、本当の何かなんだ
僕は今、この3つの単語で出来た真実の気持ちを君に伝えなきゃって気持ちでいっぱいなんだ

I just called to say I love you
I just called to say how much I care
I just called to say I love you
And I mean it from the bottom of my heart
君を愛してるって言うために電話したんだ
僕がどれだけ君を大切に想っているか伝えたくて電話したのさ
愛してるって言いたくて電話したんだ
それは心の底からの本当の気持ちなんだ

I just called to say I love you
I just called to say how much I care, I do
I just called to say I love you
And I mean it from the bottom of my heart, of my heart,
Baby of my heart
僕はただ君に、好きだよって言いたくて電話したんだ
どれだけ君を大切に想っているか伝えたくて電話したのさ
愛してるって言いたくて電話したんだ
それは心の底からの本当の気持ちなんだ、僕の心の
ベイビー、僕の心のね


2012年5月5日土曜日

I Believe I Can Fly



シュート(ショット)時の滞空時間が長く、「月面を歩いているようだ」「まるでバレリーナ」「Air !」とも言われたマイケル・ジョーダン。彼の華麗な身のこなし、そして野球への想いや家族の悲劇などに苦悩しつつも最高のプレーに徹した生涯にピタリとハマる歌です。メロディ・ラインは緩やかで暖かみがあり、強制されずに気分が高揚。周囲に惑わされずに‘自分を信じることから始めよう。大空に飛び立とう’と応援してくれます。上記は2011年5月6日に放映された映像。“You are not alone”や“Cry”等、マイケル・ジャクソンに数々の名曲を提供したR.ケリーのRed Jacket 姿に、二人のMJとの堅い絆と、この上ない逞しさを感じます。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、ロベルト・シルヴェスター・ケリーことR・ケリー

◯バスケットの神様と称されたマイケル・ジョーダン主演映画"Space Jam"(1996)の主題曲。映画の興行成績は期待されたほどではなかったが、歌は大ヒット。その年を代表する曲の1つとなった。

【歌詞】
I used to think that I could not go on
And life was nothing but an awful song
But now I know the meaning of true love
I'm leaning on the everlasting arms
これ以上前に進めないと思っていた
人生なんて ひどい歌のようなものでしかなかった
でも今は、本当の愛の意味がわかったんだ
永遠に抱きしめてくれる腕に、
その大きな力に支えられているんだ

If I can see it, then I can do it
If I just believe it, there's nothing to it
もし、思い浮べることができるのなら、それなら、できる
ただ信じる それだけでいいんだ

I believe I can fly
I believe I can touch the sky
I think about it every night and day
Spread my wings and fly away
信じている 自分は飛べる!
空高く舞い上がることができる
毎日 昼も夜も考えているんだ
翼を広げ 大空に羽ばたくことを



I believe I can soarI see me running through that open doorI believe I can fly
I believe I can fly
I believe I can fly
信じている 空高く舞い上がれると
開いた扉を駆け抜けて行く自分が見える
飛べると信じている
飛べると信じている

Hey, cuz I believe in me, oh
そうさ、だって自分を信じているから

If I can see it, then I can do it
If I just believe it, there's nothing to it
もし、思い浮べることができるのなら、それなら、できる
ただ信じる それだけでいいんだ



I believe I can soar
I see me running through that open door
I believe I can fly
I believe I can fly
I believe I can fly
信じている 空高く舞い上がれると
開いた扉を駆け抜けて行く自分が見える
飛べると信じている
飛べると信じている

If I can see it, then I can do it
If I just believe it, there's nothing to it
もし、思い浮べることができるのなら、それなら、できる
ただ信じる それだけでいいんだ

I believe I can fly
I believe I can fly
I believe I can fly
信じている 空高く舞い上がれると
飛べると信じている
飛べると信じている

※上記動画では唄われていませんが、歌詞を付記します。
See I was on the verge of breaking down
Sometimes silence can seem so loud
There are miracles in life I must achieve
But first I know it starts inside of me, oh
そう もう限界まで来ていた 崩れ落ちそうな崖っぷちにいた
静寂でさえ煩わしく感じることがあったほど
自分には実現すべき人生の奇跡がある
でもまず、それは自分自身から始めることだ
やっと気づいたんだ

If I can see it, then I can be it
If I just believe it, there's nothing to it
もし眼に浮かべられるなら、そうできるんだ
ただ信じる それだけでいいんだ

Hey, cuz I believe in me, oh
そう、だって 自分を信じているから

Hey, if I just spread my wings
そう ただ翼を大きく広げれば

I can fly
I can fly
I can fly, hey
If I just spread my wings
I can fly
飛び立とう
飛べるんだ
翼を、羽根を広げさえすれば
飛べるんだ

2012年4月22日日曜日

You're Still You


シチリア島、モニカ・ベルッチ、映像に重ね合わされる音楽、わめき合いながらも暖かい家族、何もかも全て美しいと感じさせる映画『マレーナ』。その主題曲に付与されていた歌詞を聴いたとき、旋律にあらかじめ籠められていた愛の姿を改めて知ることとなりました。憧れの女性が男たちに弄ばれていても、正義を振りかざす女たちに残酷な仕打ちを受けているときも、見つめるしかできない‘少年’。報いを求めることのない一途な想い。眼に焼き付いていた、夫の写真を抱きしめながら独り踊る彼女の姿。美の根源を感じ取り、やがて一人前の男性へと成熟していったであろう少年の、変わらぬ愛が唄われています。

【曲紹介】
◯作曲: エンニオ・モリコーネEnnio Morricone、作詞:リンダ・トンプソン Linda Thompson

◯映画『マレーナ』は、ルチアーノ・ヴィンセンツォーニの短編小説を、ジョゼッペ・トルナトーレ監督が映画化した作品。2000年10月イタリアで公開された。なお、映画の中では歌詞は使われて(歌われて)いない。

◯上記動画の冒頭で言及されているように、人気ドラマ『アリー・マイラブ』第4シリーズの最終話の中で、Josh Groban(劇中では高校生)に唄われた。


【歌詞】
Through the darkness
I can see your light
And you will always shine
And I can feel your heart in mine
Your face I've memorized
I idolize just you
暗闇の向こうに
貴女という光が見える
これからも輝きつづけるであろう‘あなた’
僕の心が感じるあなたの想い
記憶に刻み込まれたあなたの顔
ただひとりの憧れの女性

I look up to
Everything you are
In my eyes you do no wrong
I've loved you for so long
And after all is said and done
You're still you
After all
You're still you
あなたを仰ぎ見ていた
あなたが全てだった
僕の眼に映ったあなたは間違った事なんてしていない
本当に長い間僕はあなたを愛しつづけてきた
だから、何と言われようが何をされようが
‘あなたは貴女なんだ’と言える
そう、結局のところ
あなたは依然として貴女なんだ

You walk past me
I can feel your pain
Time changes everything
One truth always stays the same
You're still you
After all
You're still you
街ですれ違えば
僕にはあなたの痛みが伝わってきた
時が過ぎ、すべてが変えられていくとしても
一つの真実は変わらないまま
貴女は貴女であり続けるということ
あなたはあなたのままなのだということ

I look up to
Everything you are
In my eyes you do no wrong
And I believe in you
Although you never asked me to
I will remember you
And what life put you through
あなたのすべてを尊敬している
僕が知る限り、あなたは間違っていない
そう僕はあなたを信じている
たとえあなたに望まれないとして
僕はあなたを決して忘れはしない
‘人生’があなたに経験させた苦難も

And in this cruel and lonely world
I found one love
You're still you
After all
You're still you
こんなにも残酷で、無慈悲な世界の中で
僕は一つの愛を見出したんだ
あなたはあなたであるということ
何がどうなろうと
いつまでも変わらない 君


※映画完成後、トルナトーレ監督は、万感の思いをこめて、こう語ったそうです。
「この映画を観たすべての女性に、考えてみて欲しい。‘自分もこのように愛されたことがあっただろうか。しかも、気づかないうちに’」。


2011年8月29日月曜日

Happy


ダイアナ・ロスがビリー・ホリディに扮した映画『ビリー・ホリディ物語』。初主演にしてオスカーにノミネートされ、ソロ歌手としての存在感を確かにした作品と言われています。しあわせは、求めて追いかけるものではなく、噛みしめて味わうもの。小さな穏やかさにしあわせを実感することで心のありようが変わり始める事を、静かに伝えてくれます。マイケルはこの曲を愛し、青年期になってもたびたびコンサートで唄っていたようです。

【曲紹介】
◯作曲:ミシャル・ルグランMichael Legrand、作詞:スモーキー・ロビンソンSmokey  Robinson。

◯映画 “ Lady Sings The Blues ”(邦題『ビリー・ホリディ物語』(1972))のためにミシャル・ルグランが作曲した“ Love Theme from Lady Sings the Blues” (邦題『愛のテーマ』)に、スモーキー・ロビンソンが歌詞をつけたもの。

◯1973年に発表されたマイケル・ジャクソンのソロ3rdアルバム『ミュージック・アンド・ミー』に収録されている。録音は1972年12月。

【歌詞】 (※上記ライヴ映像で省略/改変されている歌詞を含みます)
Sadness had been close as my next of kin
Then Happy came one day, chased my blues away
‘悲しみ’が、いつもずっと僕のすぐそばにいた
するとある日、‘幸せ’がやってきて、僕の憂鬱を吹き飛ばしてくれた

My life began when Happy smiled
Sweet, like candy to a child
Stay here and love me just a while
Let sadness see what Happy does
Let Happy be where Sadness was
‘幸せ’ が僕に微笑みかけた時、僕の人生は始まったのさ
微笑みは、キャンディをもらった子どものように甘くて
だから ‘幸せ’よ、僕のことを好きになって、もう少し僕のそばにいてくれないかな
‘幸せ’が僕に何をしているか、‘悲しみ’に見て欲しいな
‘悲しみ‘がいたところに、‘幸せ‘にいてほしいのさ

Happy, that's you

You made my life brand new
Lost as a little lamb was I
Till you came in
‘幸せ’って、君のことさ
君が僕の人生を全く新しいものにしてくれたんだ
君が現れるまで、僕は迷える子羊みたいだったんだ

My life began when Happy smiled

Sweet, like candy to a child
Stay here and love me just a while
Let sadness see what Happy does
Let Happy be where Sadness was
僕に微笑みかけた時、僕の人生は幸せになった
キャンディをもらった子どものように甘くなった
だから、僕のことを好きになって、僕のそばにいてくれないかな
‘幸せ‘になると、‘悲しみ’を感じなくなるのかな
君がいてくれれば、もう‘悲しみ‘を感じることもないんだ

(Till now)
今まで

Where have I been?
What lifetime was I in?
Suspended between time and space

Lonely until
Happy came smiling up at me
Sadness had no choice but to flee
I said a prayer so silently
Let Sadness see what
Happy does
Let Happy be where
Sadness was till now
いったい僕は何処にいたんだろうね
僕が過ごしてきた毎日は、何だったんだろうね
過ぎ行く時間の中で、宙ぶらりんになって
君という幸せが現れるまで、一人ぼっちだったのさ
悲しみには、去ってもらうしかないんだ
僕は祈りを捧げたよ
君という幸せの力を、悲しみに見せてやりたい
悲しみが今までいた場所に、これからは幸せがいるんだ

Happy,yeah,yeah,Happy
La-la-la-la-la-la-la-la.yeah
君は、幸せさん、そうさ
そうさ

2011年8月26日金曜日

Cry Me A River


『女はそれを我慢できない』の映像。まるで着替人形のように、次から次へとゴージャズな衣装を着ての歌唱に、大人の女性の優しい余裕を感じます。女性の未練というより、男性を許しながら、いつまでも自分を想ってくれる女心を期待した男性からの心情にも受け取れます。とはいえ、歌い方が違えば、諦め切れずに相手を責めている恨み節にもなることでしょう。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、アーサー・ハミルトンArthur Hamilton。1953年の作品。

◯1955年の映画「皆殺しのトランペット」原題"Pete Kelly's Blues"の挿入曲として作曲され、エラ・フィッツジェラルドが歌うことを想定されていたという。

◯1955年にジュリー・ロンドンが唄い、大ヒット。ジャンルを問わず、多くの歌手によってカバーされ、スタンダードとして定着している。

◯エアロスミスのアルバム『美獣乱舞』(1982年)でも取り上げられ、2002年にはジャスティン・ティンバーレイクのバージョンがヒット。

【歌詞】
Now you say you’re lonely
You cry the whole night thorough
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
今頃になって ‘淋しい’ なんて言うのね
一晩中 涙に暮れていたなんて
だったら 思う存分お泣きなさい
涙で川ができるほど 泣くといいわ
私だって あなたを想って  さんざん涙を流してきたんですもの

Now you say you’re sorry
For bein’ so untrue
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
今さら ‘すまない’ なんて謝まるのね
自分がどんなに不実だったかを
だったら 川のようにお泣きなさい
川のように涙を流すことね
私だって あなたのために たくさん泣かされてきたんですもの

You drove me, nearly drove me out of my head
While you never shed a tear
Remember, I remember all that you said
Told me love was too plebeian
Told me you were through with me and
気が狂ってしまうほど
私を夢中にさせておいて
あなたは涙の一滴もこぼすことはなかった
覚えている?あなたが私に言った事
忘れたりはしないわ
愛なんて くだらないとか
私とはもう終わっただとか

Now you say you love me
Well, just to prove you do
Come on and cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
それなのに 
今さら あなたは‘ 愛してる’ なんて言う
だったら それを証明してみせて
川のように あふれる涙で
涙が川になるまで泣いてみせて

I cried a river over you
I cried a river over you
(Echo) I cried a river over you
私はあなたのことを想って
さんざん泣いてきたんですもの...

2011年8月15日月曜日

All My Trials 


ある時期、さまざまな歌手が唄った曲。リアルタイムでは聴いていませんが、辛酸をなめさせられながらも懸命に生きる女性たちを思い起こさせます。自分が生きている現実の世界だけが“在る”のではなく、ここはいわば生きるという名の学校なのかもしれません。試練に耐えられるのも、彼の地を信ずればこそ..。ビートルズのアップル・レコードと契約し、「アップルの歌姫」と呼ばれたメリー・ホプキンMary Hopkinの画像です。

【曲紹介】
◯“ All My Trials ” は、1950年代から60年代にかけて盛んだった社会的抗議運動の中で、人々に歌い継がれたフォークソング(民謡)。母の臨終に接している子どもを慰める子守唄が、元とされている。

◯ジョーン・バエズやピーター・ポール&マリーが歌ったヴァージョンが特に有名。

◯カーター・ファミリーのメイベルの3人娘の末っ子アニタ・カーターのヴァージョンも。
ちなみに、アニタのすぐ上の姉ジューンはジョニー・キャッシュの妻。


【歌詞】
Hush little baby, don't you cry,
You know your mama was born to die
All my trials, Lord, soon be over
かわいい子よ
泣くのはおやめ
お母さんは、生まれてきたからには 死ぬんだよ
主よ 私の試練もじきに終わりますよね

I've got a little book with pages three,
( I had a little book was given to me, と、唄われる場合もある)
And every page spelled Liberty.
All my trials Lord, soon be over.
私に授けられた一冊の小さな本は たった三ページ
どのページにも“自由”の文字が綴られている。
主よ 願わくば試練を速やかに終わらせたまえ

Too late my brothers, too late,
but never mind.
All my trials Lord, soon be over.
遅すぎた、兄弟達よ 遅すぎた
しかし気にする事はない
試練を与えたもうた主よ
試練を速やかに終わらせたまえ

If religion were a thing that money could buy,
You Know the rich would live and the poor would die.
All my trials Lord, soon be over.
もし信仰の深さがお金によって決められるなら
金持ちは生き、そして貧しき者は死に行くのみ
主よ
どうか速やかに終わらせたまえ

All my trials Lord, soon be over.
All my trials Lord, soon be over.
試練を与えたもうた主よ、
願わくばこの試練を速やかに終わらせたまえ


※以下の歌詞が唄われる事も多いそうです。

There grows a tree in paradise,
And the pilgrims call it the Tree of Life.
All my trials, Lord, soon be over.
楽園には一本の樹が生えていて
巡礼者はそれを‘生命の樹’と呼んでいます
主よ、これで私の試練も終わるのですね

River jordan is muddy and cold,
Well it chills the body but not the soul.
All my trials, Lord, soon be over.
ヨルダン川は泥だらけで冷たい川
でも冷えるのは身体だけ
魂が凍らされる事はない
主よ、これで私の試練も終わりです


※文語調に訳されて、教会などで朗読される事もあるそうです。

「自由と書かれた本には自由の意味は書かれまじ
天の「生命の樹」 そは地上にあらず
果つることなきまことの愛は
金では購(あがな)えぬ 
わが諸々の苦難は程なく潰(つい)ゆべし

信仰までも金品で購い得れば
富者は生き延び 貧者は朽ちる

ヨルダン川はいと寒く 
肉体冷やされども
魂までは凍てつかされず

全て手遅れであれども
主への信仰 我らの自由
与えられし唯一の自由」



2011年7月30日土曜日

Ben


まさか後年になって、ネズミのベンのように、マイケルが犯罪者扱いされる事態になるとは、誰も予想していなかったと察せられます。仕事を持つ人々を平等に尊重できる人間は少なからずいるでしょう。でも、どんな人間をも、どんな生物をも、同じように大切にすることは、並大抵の意識ではできません。ありとあらゆる偏見や先入観を持たずに、生きとし生けるもの全てに慈しみの視線で接していたマイケル。生命への誠実な態度が宿った歌声です。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、Don Black とWalter Scharf

◯1972年公開の映画『ベン』のエンディングテーマとして、使用された。

【歌詞】
Ben, the two of us need look no more
We both found what we were looking for
With a friend to call my own, I'll never be alone
And you my friend will see, you've got a friend in me
(You've got a friend in me)
ベン、僕たち二人はもう探さなくていいんだよね
二人とも、お互いに探していたものを見つけたんだもの
自分の友達と呼べる相手に巡り会えたのだから
僕はもう一人じゃない、ちっとも淋しくなんかないよ
そして君もまた、僕こそが本当の友達だって、わかってくれるよね
(君は僕という友だちを見つけたのさ)

Ben, you're always running here and there
(Here and there)
You feel you're not wanted anywhere
(Anywhere)
If you ever look behind and don't like what you find
There's something you should know, you've got a place to go
(You've got a place to go)
ベン、君はいつもあちらこちらへ走りまわっているね
(あちら、こちら)
どこに行っても必要とされていないと思ってるのかな
(どこに行っても)
もし君が振り返って、あまり気にいるようなことが見つからなくても
どうか覚えていて欲しいんだ
君には落ち着ける場所はあるんだってこと
(君が行くべき場所はここにあるんだよ)

I used to say, "I and me"
Now it's us, now it's we
(I used to say, "I and me")
(Now it's us, now it's we)
僕は今まで‘僕’と‘君’って言っていた
でもこれからは‘僕たち’なのさ
(いつも‘僕’と言ってきた)
(でも今は‘僕たち’に変わったんだ)

Ben, most people would turn you away
(Turn you away)
I don't listen to a word they say
(A word they say)
They don't see you as I do, I wish they would try to
I'm sure they'd think again if they had a friend like Ben
(A friend)
Like Ben
(Like Ben)
Like Ben
ベン、ほとんどの人が君を追い払うようなことをしているね
(あっちに行けって)
でも僕は、彼らの言葉には耳を貸さないよ
(かれらが言っているのはまやかしなんだ)
あの人たちは、僕が君を見るようにはみていないんだ
同じようにきちんと君を見て欲しいと思うけれど
もしあの人たちに、僕にとっての君のような友達がいたら、
きっと考え直すはずさ
皆そうなるに決まっているさ
(本当の友達がいれば)
もしベン、君のような友達がいたら
(もし、ベンのような友達がいたらね)

※ブログで訳した曲も、ようやく100 曲を数えました。


2011年7月28日木曜日

Someone To Watch Over Me


数々の歌手、そして演奏家にカヴァーされてきた名曲。軽快なテンポをゆっくりと演奏する事で、温かいラヴバラードの完成へと導かれたというエピソードが伝えられています。過激な言動で話題をふりまいてきたAmyの早すぎる死が報道され、改めて彼女の歌唱を聴いてみました。決して投げやりではなく、スタンダード・ナンバーを丁寧に唄っています。亡くなってしまった後だから、尚さらに、「確かに見守っていて欲しい」という切ない願いが響きます。

【曲紹介】
◯作詞:アイラ・ガーシュウィンIra Gershwin、作曲:ジョージ・ガーシュウィンGeorge Gershwin。1926年、ミュージカル『オー、ケイOh,Kay!(邦題:万事円満)』のために作った曲。1992年のミュージカル『クレイジー・フォー・ユー』でも使用された。『やさしい伴侶を』『誰かが私を見つめてる』『誰かが優しく見つめてる』等の邦題がつけられている。

◯曲を作っている途中で、アイラが入院したため、友人のハワード・ディーツが手伝い、タイトルもディーツがいくつか考えたものの中の一つとも言われている。

◯ミュージカルに出演したガートルード・ローレンスが歌い、大ヒット。

◯ジョージ・ガーシュウィンの伝記映画「ラプソディー・イン・ブルー」(1945)や、ローレンスの伝記的ミュージカル映画「スター!」(1968)他、多くの映画に使われている。

◯エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、フランク・シナトラ、リンダ・ロンシュタット他、多くの歌手に歌い継がれている。


【歌詞】
(VERSE)
There’s a saying old says that love is blind
Still, we’re often told “Seek and ye shall find”
So I’m going to seek a certain lad I’ve had in mind
Looking everywhere, haven’t found him yet
He’s the big affair I cannot forget
Only man I ever think of with regret
I’d like to add his initial to my monogram
Tell me, where is the shepherd for this lost lamb?
昔から「恋は盲目」なんて言われているけれど
「求めよ、さらば与えられん」という諺もあるし
だったら私は、思い描いてきたような人を探してみるわ
あちらこちら見回しているんだけど
まだ見つけられないの
そんな素敵な人と出逢えたなら
忘れる事の出来ない大恋愛になるでしょうし
もし叶わなかったら悔いが残るわ
その人のイニシャルを、私の名前の一部にできたら
ねぇ、誰か教えて!
この迷える子羊の
羊飼いさんはどこにいるの?

(CHORUS)
There’s a somebody I’m longing to see
I hope that he turns out to be
Someone who’ll watch over me
I’m a little lamb who’s lost in the wood
I know I could always be good
To one who’ll watch over me
ずっと会いたいと探し求めている
いつも私を見守ってくれるような人
私は森の中で迷子になった子羊
でも見守ってくれる人の前でなら
いつだっていい子でいられるわ

Although he may not be a man some
Girls think of as handsome
To my heart he’s carry the key
女の子にもてはやされるような
ハンサムな人ではないかもしれないけど
私の心を開く鍵は
その人が持っているはず

Won’t you tell him,
Please to put on some speed,follow my lead?
Oh how I need someone to watch over me!
だから、ねぇ?
誰かその人に伝えてくれないかしら
もっと急いでって
早く、私の前に現れてって!
あぁ、こんなにも必要としているの
いつも私を見守ってくれる、そんな人を

2011年7月17日日曜日

Dance With My Father


稀代のヴォーカリスト、ルーサー・ヴァンドロスが、幼い頃に亡くした父を歌った曲です。かのスモーキー・ロビンソンが 『ヴォーカリストあまたいれども、ルーサー・ヴァンドロスはただひとり!』と称えたように、品格あるヴェルヴェット・ヴォイス。映像には、発表時すでに病床にあったルーサーの復活を祈って、スティービー・ワンダーはじめ、多数の友人たちが登場しています。“ a song that would never, ever end ”永遠に終わらない歌、涙無くして聴く事はできません。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、ルーサー・ヴァンドロスLuther Vandross。2005年7月1日、54歳の若さで逝去。

◯同タイトルのアルバム『Dance with My Father 』(2003) 収録。

【歌詞】
Back when I was a child
before life removed all the innocence
My father would lift me high
and dance with my mother and me and then
Spin me around 'til I fell asleep
Then up the stairs he would carry me
And I knew for sure
I was loved
私が子供の頃
すべてが純真で
人生というものが動き始めていない頃
父は私に高い高いをしたり
母や私と踊ってみせたりした
くるくると回りながら、踊り過ぎて眠くなると
父は私を階段を上がり部屋まで運んでくれた
そんなとき確かに感じた
自分は愛されているんだと

If I could get
another chance
another walk
another dance with him
I'd play a song that would never, ever end
How I'd love, love, love
To dance with my father again
もしもう一度
もう一度だけ父と踊れるのなら
決して終わらない曲をいつまでもかけていよう
恋しくて恋しくてたまらない
父とダンスした時のこと

When I and my mother would disagree
To get my way, I would run from her to him
He'd make me laugh just to comfort me
Then finally make me do just what my mama said
Later that night when I was asleep
He left a dollar under my sheet
Never dreamed that he
would be gone from me
母と言い争いをした時には
父の元へ逃げ込んだものだ
父は私の言う事を聴いてくれ、笑わせてくれた
すると母の言う事を素直に聴く気になったもの
その夜私が寝ていると
父はシーツの下に1ドル硬貨を入れてくれていた
夢にも思わなかった
父が私をおいて逝ってしまうなんて

If I could steal
one final glance,
one final step,
one final dance with him
I'd play a song that would never, ever end
Cause I'd love, love, love
To dance with my father again
もしもう一度だけ
もう一度だけ父を見る事ができるなら
一緒にステップを踏んで踊れる最後のチャンスが与えられたら
決して決して終わらない、永遠に続く曲をかけよう
恋しくてたまらない
父とダンスした日々のことが

Sometimes I'd listen outside her door
And I'd hear how my mother cried for him
I pray for her even more than me
I pray for her even more than me
ときどき母の部屋から
父を想って泣く声が聞こえて来た
そんなときは母のために祈った
自分より母のために祈った


I know I'm praying
for much too much
But could you send back
the only man she loved
I know you don't do it usually
But dear Lord she's dying
To dance with my father again
叶わない祈りとわかっていても
どうか、母が愛した一人の男をお返し下さいと
そんなことは普通は叶えられないでしょう
でも神様
母は死ぬほど父と踊りたがっているんだ
父ともう一度だけ

Every night I fall asleep
and this is all I ever dream
「Dance With My Father」
毎晩眠りにつくとき
それだけが私の夢のすべてだった
「父と踊りたい」