2011年8月29日月曜日

Happy


ダイアナ・ロスがビリー・ホリディに扮した映画『ビリー・ホリディ物語』。初主演にしてオスカーにノミネートされ、ソロ歌手としての存在感を確かにした作品と言われています。しあわせは、求めて追いかけるものではなく、噛みしめて味わうもの。小さな穏やかさにしあわせを実感することで心のありようが変わり始める事を、静かに伝えてくれます。マイケルはこの曲を愛し、青年期になってもたびたびコンサートで唄っていたようです。

【曲紹介】
◯作曲:ミシャル・ルグランMichael Legrand、作詞:スモーキー・ロビンソンSmokey  Robinson。

◯映画 “ Lady Sings The Blues ”(邦題『ビリー・ホリディ物語』(1972))のためにミシャル・ルグランが作曲した“ Love Theme from Lady Sings the Blues” (邦題『愛のテーマ』)に、スモーキー・ロビンソンが歌詞をつけたもの。

◯1973年に発表されたマイケル・ジャクソンのソロ3rdアルバム『ミュージック・アンド・ミー』に収録されている。録音は1972年12月。

【歌詞】 (※上記ライヴ映像で省略/改変されている歌詞を含みます)
Sadness had been close as my next of kin
Then Happy came one day, chased my blues away
‘悲しみ’が、いつもずっと僕のすぐそばにいた
するとある日、‘幸せ’がやってきて、僕の憂鬱を吹き飛ばしてくれた

My life began when Happy smiled
Sweet, like candy to a child
Stay here and love me just a while
Let sadness see what Happy does
Let Happy be where Sadness was
‘幸せ’ が僕に微笑みかけた時、僕の人生は始まったのさ
微笑みは、キャンディをもらった子どものように甘くて
だから ‘幸せ’よ、僕のことを好きになって、もう少し僕のそばにいてくれないかな
‘幸せ’が僕に何をしているか、‘悲しみ’に見て欲しいな
‘悲しみ‘がいたところに、‘幸せ‘にいてほしいのさ

Happy, that's you

You made my life brand new
Lost as a little lamb was I
Till you came in
‘幸せ’って、君のことさ
君が僕の人生を全く新しいものにしてくれたんだ
君が現れるまで、僕は迷える子羊みたいだったんだ

My life began when Happy smiled

Sweet, like candy to a child
Stay here and love me just a while
Let sadness see what Happy does
Let Happy be where Sadness was
僕に微笑みかけた時、僕の人生は幸せになった
キャンディをもらった子どものように甘くなった
だから、僕のことを好きになって、僕のそばにいてくれないかな
‘幸せ‘になると、‘悲しみ’を感じなくなるのかな
君がいてくれれば、もう‘悲しみ‘を感じることもないんだ

(Till now)
今まで

Where have I been?
What lifetime was I in?
Suspended between time and space

Lonely until
Happy came smiling up at me
Sadness had no choice but to flee
I said a prayer so silently
Let Sadness see what
Happy does
Let Happy be where
Sadness was till now
いったい僕は何処にいたんだろうね
僕が過ごしてきた毎日は、何だったんだろうね
過ぎ行く時間の中で、宙ぶらりんになって
君という幸せが現れるまで、一人ぼっちだったのさ
悲しみには、去ってもらうしかないんだ
僕は祈りを捧げたよ
君という幸せの力を、悲しみに見せてやりたい
悲しみが今までいた場所に、これからは幸せがいるんだ

Happy,yeah,yeah,Happy
La-la-la-la-la-la-la-la.yeah
君は、幸せさん、そうさ
そうさ

2011年8月26日金曜日

Cry Me A River


『女はそれを我慢できない』の映像。まるで着替人形のように、次から次へとゴージャズな衣装を着ての歌唱に、大人の女性の優しい余裕を感じます。女性の未練というより、男性を許しながら、いつまでも自分を想ってくれる女心を期待した男性からの心情にも受け取れます。とはいえ、歌い方が違えば、諦め切れずに相手を責めている恨み節にもなることでしょう。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、アーサー・ハミルトンArthur Hamilton。1953年の作品。

◯1955年の映画「皆殺しのトランペット」原題"Pete Kelly's Blues"の挿入曲として作曲され、エラ・フィッツジェラルドが歌うことを想定されていたという。

◯1955年にジュリー・ロンドンが唄い、大ヒット。ジャンルを問わず、多くの歌手によってカバーされ、スタンダードとして定着している。

◯エアロスミスのアルバム『美獣乱舞』(1982年)でも取り上げられ、2002年にはジャスティン・ティンバーレイクのバージョンがヒット。

【歌詞】
Now you say you’re lonely
You cry the whole night thorough
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
今頃になって ‘淋しい’ なんて言うのね
一晩中 涙に暮れていたなんて
だったら 思う存分お泣きなさい
涙で川ができるほど 泣くといいわ
私だって あなたを想って  さんざん涙を流してきたんですもの

Now you say you’re sorry
For bein’ so untrue
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
今さら ‘すまない’ なんて謝まるのね
自分がどんなに不実だったかを
だったら 川のようにお泣きなさい
川のように涙を流すことね
私だって あなたのために たくさん泣かされてきたんですもの

You drove me, nearly drove me out of my head
While you never shed a tear
Remember, I remember all that you said
Told me love was too plebeian
Told me you were through with me and
気が狂ってしまうほど
私を夢中にさせておいて
あなたは涙の一滴もこぼすことはなかった
覚えている?あなたが私に言った事
忘れたりはしないわ
愛なんて くだらないとか
私とはもう終わっただとか

Now you say you love me
Well, just to prove you do
Come on and cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
それなのに 
今さら あなたは‘ 愛してる’ なんて言う
だったら それを証明してみせて
川のように あふれる涙で
涙が川になるまで泣いてみせて

I cried a river over you
I cried a river over you
(Echo) I cried a river over you
私はあなたのことを想って
さんざん泣いてきたんですもの...

2011年8月15日月曜日

All My Trials 


ある時期、さまざまな歌手が唄った曲。リアルタイムでは聴いていませんが、辛酸をなめさせられながらも懸命に生きる女性たちを思い起こさせます。自分が生きている現実の世界だけが“在る”のではなく、ここはいわば生きるという名の学校なのかもしれません。試練に耐えられるのも、彼の地を信ずればこそ..。ビートルズのアップル・レコードと契約し、「アップルの歌姫」と呼ばれたメリー・ホプキンMary Hopkinの画像です。

【曲紹介】
◯“ All My Trials ” は、1950年代から60年代にかけて盛んだった社会的抗議運動の中で、人々に歌い継がれたフォークソング(民謡)。母の臨終に接している子どもを慰める子守唄が、元とされている。

◯ジョーン・バエズやピーター・ポール&マリーが歌ったヴァージョンが特に有名。

◯カーター・ファミリーのメイベルの3人娘の末っ子アニタ・カーターのヴァージョンも。
ちなみに、アニタのすぐ上の姉ジューンはジョニー・キャッシュの妻。


【歌詞】
Hush little baby, don't you cry,
You know your mama was born to die
All my trials, Lord, soon be over
かわいい子よ
泣くのはおやめ
お母さんは、生まれてきたからには 死ぬんだよ
主よ 私の試練もじきに終わりますよね

I've got a little book with pages three,
( I had a little book was given to me, と、唄われる場合もある)
And every page spelled Liberty.
All my trials Lord, soon be over.
私に授けられた一冊の小さな本は たった三ページ
どのページにも“自由”の文字が綴られている。
主よ 願わくば試練を速やかに終わらせたまえ

Too late my brothers, too late,
but never mind.
All my trials Lord, soon be over.
遅すぎた、兄弟達よ 遅すぎた
しかし気にする事はない
試練を与えたもうた主よ
試練を速やかに終わらせたまえ

If religion were a thing that money could buy,
You Know the rich would live and the poor would die.
All my trials Lord, soon be over.
もし信仰の深さがお金によって決められるなら
金持ちは生き、そして貧しき者は死に行くのみ
主よ
どうか速やかに終わらせたまえ

All my trials Lord, soon be over.
All my trials Lord, soon be over.
試練を与えたもうた主よ、
願わくばこの試練を速やかに終わらせたまえ


※以下の歌詞が唄われる事も多いそうです。

There grows a tree in paradise,
And the pilgrims call it the Tree of Life.
All my trials, Lord, soon be over.
楽園には一本の樹が生えていて
巡礼者はそれを‘生命の樹’と呼んでいます
主よ、これで私の試練も終わるのですね

River jordan is muddy and cold,
Well it chills the body but not the soul.
All my trials, Lord, soon be over.
ヨルダン川は泥だらけで冷たい川
でも冷えるのは身体だけ
魂が凍らされる事はない
主よ、これで私の試練も終わりです


※文語調に訳されて、教会などで朗読される事もあるそうです。

「自由と書かれた本には自由の意味は書かれまじ
天の「生命の樹」 そは地上にあらず
果つることなきまことの愛は
金では購(あがな)えぬ 
わが諸々の苦難は程なく潰(つい)ゆべし

信仰までも金品で購い得れば
富者は生き延び 貧者は朽ちる

ヨルダン川はいと寒く 
肉体冷やされども
魂までは凍てつかされず

全て手遅れであれども
主への信仰 我らの自由
与えられし唯一の自由」