2012年7月7日土曜日

Stay Gold


現在放映中のドラマ『はつ恋』。互いを想えばこそ、声にしてしまった言葉と口に出来なかった言葉。「会わない」と決めた女性と「会えない」と諦めた男性が、突然再会します。そんな主人公二人の若き日、出逢いのきっかけとなった歌が、「スティービー・ワンダーのStay Gold」。それぞれにとっては、あまりにも苦く辛い現実が、人生で最も愛おしい財産に感じられる、それが青春時代なのかもしれません。時は移ろい、眼に映る何もかもが色褪せていくとしても、同じ想い出を持つであろう人からの「輝き続けてほしい」というメッセージでもある歌。シンプルな言葉が夕陽のように沁みこんできます。

【曲紹介】
◯フランシス・フォード・コッポラ監督作品『アウトサイダー』の主題歌。日本での公開は1983年8月27日。2005年、未公開シーンを大幅に加え、サウンドトラックも一新した113分のディレクターズカット版が製作され、舞台となったタルサでプレミア公開された。

◯作曲は、カーマイン・コッポラCarmine Coppola(監督の父) 作詞と歌唱は、スティービー・ワンダーStevie Wonder。

◯『アウトサイダー』の原作者は、オクラホマ州タルサ出身の15歳の高校生。校内で反響を呼び、コッポラに映画化を望む運動まで起こったという。コッポラがこの動きに応え、小説を読み「若者だけのためではなく青春を過ごしたすべての人々のための作品」と確信し、撮影に臨んだという。

◯シングル・レコードとしては発売されず、オリジナル・アルバムにも収められていない、いわばスティーヴィー・ワンダーの“隠れた名曲”。

【歌詞】
Seize upon that moment long ago
One breath away and there you will be
So young and carefree
Again You will see
That place in time so gold
つかまえにいこう 遠い昔のあの瞬間
ほんの一瞬で浮かんでくる あの頃の君
とても若く 屈託のない君
そして 見えてくる
あの場所 その時 輝いていた君

Steal away into that way back when
You thought that all would last forever
But like the weather
Nothing can ever and be in time
Stay gold
遠いあの頃に 逃れていきたい
すべてが永遠に続くと信じていた あの頃に
でも空模様のように
時の中に変らないものなど何もない
輝いていたものさえ

But can it be.
When we can see
So vividly
a memory
And yes you say so must the day
Too, fade away and leave a ray of sun
So gold
だけど見える
僕たちの思い出
こんなにも鮮やかに
憶えている
そして 君は言う
陽が沈み
一日が終わりを告げるように
あの頃は はるか遠くに消えた
夕陽が後に留める一筋の光のような
金色の輝きを残して

Life is but a twinkling of an eye.
Yet filled with sorrow and compassion.
Though not imagined
All things that happen
will age too old
Though gold
人生はまたたく間に過ぎていく
なのに 哀しみと憫れみにあふれている
想像もできないような
この世のものは皆
あまりにも早く古くなっていく
たとえ輝いているものでも

Stay gold
輝くままに

※『アウトサイダー』原作、そして映画に引用されたロバート・フロスト(Robert Frost,1874-1963)の詩

"Nothing gold can stay"

Nature's first green is gold,
Her hardest hue to hold.
Her early leaf's a flower;
But only so an hour.
Then leaf subsides to leaf.
So Eden sank to grief,
So dawn goes down to day.
Nothing gold can stay.

“訳者知らず”
何ものも 輝きを留めず

黄金色に輝く 萌えいずる緑
うつろい易き色よ
萌えいずる葉は花
それも一瞬
やがて葉は葉に戻り  
エデンは悲しみに沈み
暁は今日に変わる
黄金のままではいられない 

◇中田耕治氏の訳
輝きに留まらず

みどりなす自然の いぶき
きびしいさけびを秘めて 純金
芽吹く葉は 花ひとつ
だが それも たまゆら
やがて葉は葉と落ちて
エデンの園は 悲しみにしずみ
かくて夜明けは 日に移る
輝くものは輝きのままに留まらず

◇清水真砂子氏の訳
ひとつとして黄金のままいられるものはない

誕生のとき、緑は黄金、
すぐに消えてなくなる色。
誕生のとき、葉は花、
だが、それも一刻のこと。
やがて、葉は葉。
エデンは悲しみの園と化し、
暁も昼に変わる。
ひとつとして黄金のままいられるものはない。


◇唐沢則幸氏の訳
輝きは永遠(とわ)には続かず

自然の最初の芽吹きは金、
最もとどめ難きその色合い。
萌え出づる若葉は花、
なれどそれもわずか一刻。
やがて葉は葉へと戻り、
エデンは悲しみに沈み、
暁は昼へとうつろう。
輝きは永遠(とわ)には続かず