2012年6月25日月曜日

There Must Be More To Life Than This




マイケルは、Queen を初めて聴いた日からフレディ・マーキュリーの大ファン。水色のジャケットを着たマイケルがフレディを見つめる眼は、フレッド・アスティアを見る眼と同じ。心から尊敬していることが伺える表情をしています。共に仕事をしたいと願い、マイケルの自宅にてフレディのピアノでデモ録音(1983)。マイケルのソロヴァージョンも残されていますが、曲に籠めた愛を伝えたい一心のフレディと、敬愛する人に心を配りながら優しく謳い上げるマイケル、完璧な録音ではないからこそ、それぞれの心情がナマで伝わってくるように感じます。歌詞とパートが微妙に違う2つのヴァージョンを記します。

【曲紹介】
◯作詞/作曲は、フレディ・マーキュリーFreddie Mercury。邦題は「生命の証」。フレディの最初にして唯一のソロアルバム『Mr. Bad Guy』(1985)所収。

◯元々は、Queenのアルバム『Hot Space』のために作っていたと言われている。

◯1983録音の音源は、ジム・ビーチに管理され、マイケルのソロは海賊版扱いのQUEEN 『BURIED TREASURES』に収録されている。

◯『The Works 』に収録されているフレディとブライアンの共作曲「This The World We Created...?」(邦題『悲しき世界』)はこの曲が元になっているといわれている。

【歌詞】
Take①(録音順ではなく、上動画)
There must be more to life than this
There must be more to life than this
How do we cope in a world without love
Mending all those broken hearts
And tending to those crying faces
こんな人生ではないはずだ
人生にはもっと意味があるはずだ
愛無くして 
どうやってこの世界で生きていかれるというのだろう
失意の底にある全ての人々の心を癒し
泣いている顔から涙を拭えるのは
愛しかないのではないか?

There must be more to life than living
A better way for us to survive
Why should it be just a case of black or white.
There must be more to life than this.
人生には生活していくこと以上に意味があるはずだ
もっといい生き抜き方があるはずだ
大切なことを白か黒かと決めつけて何の意味があるんだ
白人だの黒人だのと言っている場合ではないんだ
人生には大切なものがあるはずなんだ

Why is this world so full of hate
People dying everywhere
And we destroy what we create
People fighting for their human rights
But we just go on saying c'est la vie
So this is life
どうしてこの世はこんなにも憎しみに溢れているのか
至る所で大勢の人々が死にかけているのか
人間は造っては破壊しの繰り返し
生きる為の最低限の人権のために闘っている人々もいるというのに
でも僕らはただこう言って諦めてしまう “セ・ラ・ヴィ”
“そう、人生なんてこんなものさ”と

There must be more to life than killing
A better way for us to survive
What good is life, in the end we all must die
Then we can all just live in peace
生命を奪うより大切なことがあるはずだ
人間が生存していくためにはもっといい方法があるはずだ
皆いずれ死ぬとしても
人生は素晴らしいものなんだ
皆が平和に暮らしていかれるはずなんだ

There must be more to life than this
There must be more to life than this
I live and hope for a world filled with love
Then we can all just live in peace
There must be more to life,
much more to life
There must be more to life,
more to life than this.
もっと多くの命が尊ばれなくてはならない
今よりもっと命が活かされなければならない
愛で満たされた世界を夢みて 僕は生きている
それでこそ僕らは皆平和に生きることができるのだから
より多くの人が輝ける人生を歩まなければ
もっともっとたくさんの人が輝く人生を生きられるように
人生にはもっと大切な意味があるはずだ
今よりもっと大きな意味のある生き方ができるはずだ

TAKE②
There must be more to life than this
There must be more to life than this
How do we cope in a world without love
Mending all those broken hearts
And tending to those crying faces
人生にはもっと意味があるはずが
人の命にはもっと意味があるはずだ
この世界を何とかしようと思うなら、
その方法は愛しかない
悲嘆にくれる人々の心を癒し
涙を拭えるのは
愛だけだ

There must be more to life than killing
There must be more than meets the eye
Why should it be in a world without children
There must be more to life than this
人生にはただ生きること以上に意味があるはずだ
目に映る以上のものを感じ取らなければ
どうして子供たちを抜きにして世界を捉えたりするんだ
人生にはもっと大切なものがあるはずなんだ

Why is this world so full of hate
People dying everywhere
And we destroy what we create
People fighting for their human rights
But we just go on saying c'est la vie
So this is life
どうしてこの世はこんなにも憎しみに溢れているのか
至る所で大勢の人々が死にかけているのか
人間は造っては破壊しの繰り返し
お互いの権利のために闘っているうちに終わりがきて
ただこう言ってしまう “セ・ラ・ヴィ”
“そう、人生なんてこんなものさ”と

There must be more to life than killing
A better way for us to survive
What good is life, in the end we all must die
There must be more to life than this
生命を奪うより大切なことがあるはずだ
人間が生存していくためにはもっといい方法があるはずだ
皆いずれ死ぬとしても
人生は素晴らしいものなんだ
多くの命がもっと大切にされなくければならないんだ

There must be more to life than this
There must be more to life than this
I live and hope for a world filled with love
Then we can all just live in peace
There must be more to life,
much more to life
There must be more to life,
more to life than thisQ
もっと多くの命が尊ばれなくてはならない
今よりもっと命が活かされなければならない
愛で満たされた世界を夢みて 僕は生きている
それでこそ僕らは皆平和に生きることができるのだから
より多くの人が輝ける人生を歩まなければ
もっともっとたくさんの人が輝く人生を生きられるように
それぞれの命にはもっと大切な意味があるはずだ
今よりもっと多くの人々の命や生活を大切にできる人生を生きよう


※マイケルとフレディについての不仲説(フレディの曲がマイケルのアルバムに採用されなかったから云々、フレディが薬物を使用していたから云々、マイケルがフレディの金銭にまつわる発言に怒りを覚えた云々等多数)には、全く根拠がありません。二人は直接会う事がなくても互いを尊重し合っていたと考えられます。マイケルは、スリラー録音時頃から白班症状が悪化し、フレディの死後マイケルに関するメディアの偏向報道は激しさを益していきました。

<マイケルについてのフレディの発言>
「僕なんかは、彼の気持ちを考えるだけで辛くなるよ。彼って謎めいているだろう?だからこそメディアは、彼を神の申し子みたいに持ち上げたかと思うと、あることないこと書き立てたりする。彼ならどんな事も‘ありえる’って思えるからだよ。でも本当の彼はすごくシャイでね。とにかく僕がじかに知っている彼は、とても素晴らしい、優しい、そして才能あふれた人。それだけだ。」〜フレディ・マーキュリー『A LIFE,IN HIS OWN WORDS』


<デモ録音についての証言>
「1983年ある夏の日、エンシノにある自宅にフレディは招かれた。マイケルは自分の家を誇りにしており、新築のチューダー式の大邸宅の楽しそうに案内してくれた。フレディの印象に残ったのは、『スリラー』のトリプル・プラチナ・ディスクの飾り方だった。それはただ寝室の壁によりかけられているだけだった。訪れた最大の目的は録音で、自宅のスタジオでフレディはピアノを弾くことになった。このセッションのきっかけは、マイケルがアルバム 「ビクトリー」用の曲に何か趣向をこらしたいと思ったことに端を発していた。ふたりはその日の午後、3曲分のセッションを行った。曲は「ビクトリー」、「ステイト・オブ・ショック」、そして3曲目は後にフレディのソロ・アルバム「Mr.バット・ガイ」に収録された「生命の証」だった。」〜『フレディ・マーキュリー 華麗なるボヘミアン・ラプソディ』著者ピーター・フリーストーン(パーソナル・アシスタントとしてフレディを公私共に支えた人物)他                 



2012年6月20日水曜日

I Will


『邂逅』(1939)『めぐり逢い』(1957)『「めぐり逢えたら』(1993)」に続き、ウォーレン・ビューティが製作した『めぐり逢い(1994)』。現代風にアレンジされ過ぎた部分もありましたが、★キャサリン・ヘプバーン、レイ・チャールズが出演!★撮影は『明日に向って撃て!』のコンラッド・ホール(タヒチ生まれ!)、音楽はエンニオ・モリコーネ、衣装は『バリー・リンドン』のミレナ・カノネロと巨匠集結!★ボラボラ島の景観、そして「あなたを束縛したくなかった」と涙ながらに応える★アネット・ベニングが終始とぉーっても美しい!加えて★彼女と子どもたちが唄う『I Will』の場面。ささやかな曲に籠められた金平糖のような愛おしさが引き出されゆくさまを感じさせられました。


【曲紹介】
◯クレジット上の作詞・作曲は、ジョン・レノン&ポール・マッカートニー。1968年に発表されたアルバム『ザ・ビートルズThe Beatles』(通称・ホワイトアルバム)に収録。ポールはリードボーカル、ギター、ベースを担当した。

◯ポールが1967年に出逢ったリンダ・イーストマン(のちの妻)への愛を歌った5曲のうちの最初の1曲と言われている。ちなみに、残りの4曲は、『恋することのもどかしさMaybe I'm Amazed』、『トゥ・オブ・アスTwo of Us』、『ラヴリー・リンダ Lovely Linda』、『マイ・ラヴ My Love』。

◯リンダは離婚歴のある子連れの女性だったため、日本人前衛芸術家のオノ・ヨーコほどではないにしても、ビートルズの相手としてふさわしくないと当時はメディア他にかなり攻撃されたらしい。軽めの曲だが、“I Will ”とは、結婚式での誓いの言葉。リンダを愛し続けたポールの本気度が偲ばれる。

◯ポールと子供たちとの映像は、こちら☞ http://youtu.be/FwAny6XbhzQ

◯映画のワンシーンはこちら☞ http://youtu.be/4WOSnzIGNmY

◯ブルーグラスのフィドラー(バイオリン)だったアリソン・クラウスAlison Kraussの声は、爽やかで心が洗われるよう。まさに天使の歌声!初出はバンジョー奏者Tony Furtadoの1992年発表のアルバム『Within Reach』。彼女の『Now That I've Found You: A Collection』(1995)にも収録されている。Dan Tyminski もギターで参加。http://youtu.be/MEnDMAJDIbI

◯ダイアナ・ロスDiana Rossもカヴァーしている。


【歌詞】
Who knows how long I've loved you
You know I love you still
Will I wait a lonely lifetime
If you want me to, I will
僕がどんなに長く君を愛し続けてきたか
誰にもわかりはしないさ
今ももちろん愛している
一生寂しく待ち続けなければならないとしても
君がそうしろっていうのなら
僕は待つよ

For if I ever saw you
I didn't catch your name
But it never really mattered
I will always feel the same
君の姿を見かけることがあっても
名前を知ることすらなかった
けれど そんなことは大した問題じゃない
いずれにせよ僕の気持ちは変わらない
これから先もずっと同じ気持ちのままだろう

Love you forever and forever
Love you with all my heart
Love you whenever we're together
Love you when we're apart
君を愛し続けるよ、いつまでもいつまでも
心の底から愛し続けるよ
一緒にいるときはいつだって
離れていても、愛し続ける

And when at last I find you
Your song will fill the air
Sing it loud so I can hear you
Make it easy to be near you
For the things you do endear you to me
Ah, you know I will
I will
ようやく君を見つけたときは
君の歌があたり一面に広がっていく
よく聴こえるように大きな声で歌っておくれ
君のそばにいさせてほしい
君のすることすべてが愛おしい
きっと君を愛し続けるよ
約束するよ
きっとさ、きっと




2012年6月17日日曜日

When I Fall In Love


この曲がヒットした1950年代は、今から見れば、のどかな時代。それでも、‘忙しい恋は愛とは言えない’と唄われています。最近は、‘結婚したい’と数日前まで思っていた人に、いきなり平手打ちして悪口雑言の目まぐるしさ。端から見るとコメディですが、ご本人たちは大真面目?!いつの時代も、ゆっくり丁寧な方々と、何も見ずに一目散の方々がいらっしゃるようです。動画は、父ナット・キング・コールの声と父娘共演を果たしたナタリー・コール。自分と父親の気持ちの一致に、暖かき幸福の原点を感じます。

【曲紹介】
◯ 作詞:エドワード・ヘイマンEdward Heyman、作曲ヴィクター・ヤングVictor Young。(邦題:恋におちた時)。ちなみに『Love Letters』もこの二人の共作。

◯1952年映画“ONE MINUTE TO ZERO"(邦題「零 号作戦」)の主題歌として使われた曲。

◯1952年、ドリス・デイDoris Dayが歌って、スマッシュ・ヒット。その5年後の1957年エロール・フリン主演映画『Istanbul』でナット・キング・コールが劇中で歌い大ヒットした。

◯ナット・キング・コールは、アルバム『Love Is the Thing(恋こそはすべて)』に収録。

◯カルメン・マクレイ、カレン・カーペンターやマリリン・モンロー、ダイナ・ワシントン、サミー・デイヴィス・ジュニア、ジュリー・ロンドンなど、多くの人々にカバーされている。また、ビル・エバンスやマイルス・デイヴィスの名演奏も。

◯カレン・カーペンターのヴァージョンはこちら→ http://youtu.be/GWgdCoISwpA ヴァースから、唄っています。とても素直で美しい声です。

◯スティーヴィー・ワンダーの『I Believe』は、『I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)』というように『When I Fall In Love』の出だしの歌詞がそのまま副題で使われており、この曲にインスパイアされたのではないかと推察されている。

◯1993年にヒットしたメグ・ライアンとトム・ハンクス主演の映画『めぐり逢えたら』では、セリーヌ・ディオンがクライヴ・グリフィンと『めぐり逢えたら ~愛のテーマ~』というタイトルでこの歌が使われ、大ヒットしたとのこと。(残念ながら未見)

◯『めぐり逢えたら』(1993)の原型は、『めぐり逢いAn Affair to Remember』(1957)。ラストシーン、自分を差し置いて相手(ケーリー・グラント)を思いやるデボラ・カーの仕草!大和撫子的な健気さに、改めて涙!ダイジェスト映像はこちら→ http://youtu.be/rgI9smpmwiw


【歌詞】
上記動画では、CHORUSのAnd the momentから始め、始めから唄っています。
(VERSE)
Maybe I’m old fashioned, feeling like I do
Maybe I am living in the past
But when I meet the right one
I know that I’ll be true
My first love will be my last
(ヴァース)
おそらく僕の考え方は古いのかもしれない
たぶん僕ははるか古えの時代の人間なのさ
でも、この人こそ、という人にめぐり逢えたら
本当の自分をさらけ出せるだろうね
それが僕の最初で、そして永遠につづく恋になるとわかっているから


(CHORUS)
When I fall in love it will be forever
Or I’ll never fall in love
In a restless world like this is
Love is ended before it’s begun
And too many moonlight kisses
Seem to cool in the warmth of the sun
When I give my heart it will be completely
Or I’ll never give my heart
恋に落ちるとき
それは、永遠に続く愛を意味するもの
そうでなければ恋なんてしない
慌しく、落ち着きのないこの世の中では
恋愛も、始まってもいない内にもう終わり
月夜に交わされる数多くのキスも
あくる日には温かな太陽に照らされて、興ざめとなってしまう
心を捧げるとは
そのすべてを捧げることを意味するもの
それくらい思えないのなら
少しも捧げたりなんてできない

And the moment
I can feel that you feel that way too
Is when I fall in love with you
今この瞬間
君も同じ思いでいると感じられた時が
僕が君と恋に落ちる時

When I give my heart it will be completely
Or I’ll never give my heart
And the moment
I can feel that you feel that way too
Is when I fall in love with you
もし心を捧げるのだったら
この心すべてを捧げたい
でなければ、決して心を差出したりはしない
あなたも私と同じように考えているってわかったなら
その瞬間こそが
あなたとの恋に私が落ちる時


※ ‘fall in love’ は家族や友達に対して使わない言葉で、一般には‘激しい恋’を意味するようですが、お気に入りのモノ等には使うようです。例えば、She has fallen in love with the intricacies of Fellini's films. 
彼女はフェリーニ映画の複雑さに傾倒しています。