2011年3月31日木曜日

Hurt


‘Man In Black’と称された大御所ジョニーキャッシュJohnny Cashの遺作となった映像。たった4分間に人生が凝縮包括されています。輝かしい栄光の歴史も、彼にとってはゴミの山でしかなかったのか。ドラッグ中毒、逮捕歴..深い傷と痛みの数々。何度も映されるキリスト像。年齢による声の変化は、衰えではなく重みへと深化していたことを知らされます。心配そうに見つめる妻の姿。引き裂かれるような想いを秘め、淡々と歌いきる男の存在感がズシリと刻まれます。

◯作詞/作曲は、ナイン・インチ・ネイルズNine Inch Nailsのトレント・レズナーTrent Reznor。アルバム『The Downward Spiral』収録(1995)。

◯映像の監督は、マーク・ロマネックMark Romanek

◯ジョニー・キャッシュJonny Cashは、リック・ルービンのプロデュースで数々の名曲をカヴァーしたアコースティックアルバムAmerican シリーズを製作。‘Hurt’は、4作目『American IV: The Man Comes Around"に収録されている。

◯撮影が行われた翌年の2003年5月に妻June Carter Cashが、9月にJohnny Cash本人が亡くなった。

【歌詞】
I hurt myself today   
To see if I still feel   
I focus on the pain   
the only thing that's real   
俺は今日 自分自身を傷つけてみた
まだ感覚があるかどうか 確かめたくて
その痛みに意識を集中してみる
それだけが唯一の本当のことだ

The needle tears a hole   
the old familiar sting   
try to kill it all away   
but I remember everything   
針で 穴をひっかく
おなじみの 突き刺すような痛み
引きずってきた傷
それら全部を殺し去ってしまいたい
でも俺は すべてを覚えている

What have I become?   
My sweetest friend   
Everyone I know   
goes away in the end   
俺は一体何者なんだ?
親しい友も
知っている人々は皆
結局は立ち去ってゆく

And you could have it all
My empire of dirt   
I will let you down   
I will make you hurt   
お前に全部やろう
うす汚れたゴミの帝国
お前をガッカリさせるだろう
お前を傷つけてしまうだろう

I wear this crown of shit (thorns)※ 
Upon my liar's chair  
Full of broken thoughts   
I can not repair   
俺は「デタラメ」(いばら)の王冠をかぶり
見せかけの玉座に腰かける
バラバラな考えで頭の中は一杯
なのに修復できずにいる

Beneath the stains of time 
the feelings disappears 
You are someone else  
I am still right here   
時だけが染み込んでいく
感情は消えていく
もはやお前が誰かわからない
俺はまだ ここにいる

What have I become?
My sweetest friend   
Everyone I know   
goes away in the end   
俺は何者になったというのか?
愛する人々も友も
知っている人は皆
最後には立ち去っていく

And you could have it all 
My empire of dirt  
I will let you down  
I will make you hurt 
うす汚れたゴミの帝国では
すべてを手に入れる事ができる
けれど自分自身に落胆するのさ
自分自身を傷つけるのさ

If I could start again 
a million miles away 
I would keep myself  
I would find a way...  
やり直すことができるのなら
百万マイル離れた場所で
そう遥か遠くへ行き
自分自身を見失わずにいよう
俺は自分の道を見つけるだろう

※shitは、汚い言葉で放送禁止用語でもあるので、「crown of thorns」(イバラの冠:キリストが被せられた)と替えて歌っています。

※英語の歌の場合、you は必ずしも相手を指さず、I の意味でも用いられる事があるので、そのように訳してみました。

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