2011年2月12日土曜日

Moon River


髪を夜会巻に結ってゴージャスなドレスを身に纏い、無理にトンガって息巻いてみせる主人公ホーリーHolly。自由気ままで好き勝手に見えて、その実とても寂しがり屋で時には自信が無かったり。ひねくれ度がハンパでなくて、なかなか素直になれない彼女が窓辺に腰掛けてギターをつま弾きながら歌うー‘これが純粋な彼女の本当の姿!’と何の説明がなくても納得させられる名シーン。歌手としての訓練を受けていないオードリーですが、バレエで鍛えたしなやかな肢体から発せられる、何の飾りも無いピュアな歌声は、美しく直接心に響いてきます。月、川、スタイル、心、世界、虹、友だち...大きな大きな意味をもつシンプルな単語の数々。それらが彼女の口を通ってくると、さらに意味が深まり、想像できる景色が輝いてくるようです。タイプライターの ‘My friend’と打つ音がイントロという所も、オサレな演出です。


◯ブレイク・エドワーズBlake Edwards監督作品『Breakfast at Tiffany's (邦題ティファニーで朝食を)』(1961)の劇中歌。プロデューサーが気に入らず、カット対象の場面だったという逸話が残っている。


◯アメリカ映画音楽世界の巨匠ヘンリー・マンシーニHenry Manciniが 作曲を手がけた2作目の映画音楽。ちなみに1作目は、オーソンウェルズ監督の『黒い罠』


◯作詞は、南部出身の詩人ジョニー・マーサーJohnny Mercer。ジョージア州のBack River を眼にしながら作詞したとか。


◯作詞作曲ともに、映画での役柄とオードリー個人の雰囲気や声を意識して創作に臨んだという。ヘンリー・マンシーニは「たくさんの人に歌われてきたが、オードリーの解釈、表現は完璧」と語っていたとの事。


◯アカデミー主題歌賞、グラミー最優秀歌曲賞および最優秀レコード賞を受賞。授賞式では、アンディ・ウイリアムスが歌い、以降彼の代表的なレパートリーに。


【歌詞】
Moon River, wider than a mile, 
I'm crossing you in style some day. 
Old dream maker, you heart breaker, 
wherever you're going I'm going your way. 
ムーン・リバー 幅1マイルを超える大きな川
いつの日か堂々と あなたを渡ってみせるわ
あぁ昔馴染みの夢工房 心を傷つける嫌な人
あなたが何処に行こうと 私はあなたと共に行く


Two drifters off to see the world. 
There's such a lot of world to see. 
We're after the same rainbow's end-- 
waiting 'round the bend, 
my huckleberry friend,
Moon River and me
二人は漂流者 世界を見たさに彷徨っている
見るべき世界はたくさんあるわ
一緒に同じ虹の端っこを追いかけているのね
曲がり角のあたりで待っているわ
幼なじみのような私の友だち
ムーン・リバーと私

*my huckleberry friend は、‘(トム・ソーヤの友人)ハックルベリーのような’という’解釈をしてきましたが、「幼い頃に、よく野原で拾う木の実(たとえば、コケモモの実) のような友だち」という意図で書かれたようです。作詞家によれば、‘明確な意図が無く、ふと「huckleberry」という単語が浮かんだんだ’とのこと。


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