2011年2月4日金曜日

The Rose


river, razor, hunger, reed, bleed, need.. 人類の起源を思わせるような単語がずらりと並ぶ。曲の素晴らしさもさることながら、詩が内容的にも形式的にも完璧で、生きている人が創ったとは思えない作品。心とは人の一部ではなく、人=heart = dream = one = soul として、live=learn。人によって、また時どきによって、深くも重くも受け止められ、それでいて押し付けがましさのない、幾重にも重なった美しい羽衣のような曲。たとえ雪が降っていたとしても、日が幾分長くなり、春を待つ心がもたげてくる“立春”にふさわしい歌。

【曲紹介】
◯伝説のシンガー、ジャニス・ジョプリン Janis Joplinの激烈な生涯を描いた映画 『The Rose』(邦題ローズ、1979) の主題曲。ちなみに、ジャニスの愛称は“Pearl ”。真珠という言葉も、清濁混合の海水を貝の中で受け流しながら形づくられる美しい玉を表現していると考えられるが、パールの響きにも同様の麗しさが込められている。

◯作詞作曲は、アマンダ・マクブーン Amanda McBroom。 本人による歌唱はこちら。→ http://youtu.be/KslLWfyVyZQ


◯日本では、アニメ映画『おもいでぽろぽろ』の中で、『 愛は花・君はその種子 』というタイトルで都はるみが日本語の歌詞で沁み入るように唄っている。

◯Westlifeをはじめ、多くの歌手がカバー。オーディション番組の優勝少女歌手 BiancaRyan(→ http://youtu.be/TaPTDslm0mE )、そして日本での知名度は低いが、実力派 LeAnneRimesのカバーも素晴らしい。(→ http://youtu.be/UpvNP3Cmvm8 )



【歌詞】
Some say love it is a river
that drowns the tender reed
Some say love it is a razor
that leaves your soul to bleed
Some say love it is a hunger
an endless aching need
I say love it is a flower
and you it's only seed
人は言う 愛とは川だと
心優しい人々[葦]を呑み込みながら流れいく川のようだと

人は言う 愛は刃(やいば)だと
血を流す魂をそのままにすておく
凶器のようだと
人は言う 愛は飢えだ
どれだけ求めても満ち足りる事のない痛みのようだと
私は言う 愛は花
そして、あなたはその唯一の種


It's the heart afraid of breaking
that never learns to dance
It's the dream afraid of waking
that never takes the chance
It's the one who won't be taken
who cannot seem to give
and the soul afraid of dying
that never learns to live
傷つくことを怖れる心は
舞おうと
しない
覚めることを怖れるだけの夢は
チャンスを掴もうとしない
奪われることを怖れる人は
与える由を知ろうとしない
そして、死ぬことを怖れる魂は
本当の生き方をしようとしない



When the night has been too lonely
and the road has been too long
and you think that love is only
for the lucky and the strong
Just remember in the winter
far beneath the bitter snows
lies the seed
that with the sun's love
in the spring
becomes the rose

途方もない寂しさを感じる夜
歩いて来た道のりの長さを想うとき
あなたは思う。愛なんて、
運がいい人や強い人たちだけのものだと
けれど心に留めておいてほしい 真冬
冷たい雪のずっと奥深くに
種があることを 太陽の愛を浴びながら
その種は春に バラの花を咲かせることを








個人的には、金子みすゞの詩、アンリ・マティスのDanceと不可分の歌。

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つもった雪
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。

下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。

中の雪
さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえないで。

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*雪の立場に立って、しかもどの位置にいる雪に対しても想いやリをもつ心。1930年3月10日、26歳で幼い我が子を残して、自ら命を絶ったみすゞ。女性が親権を持つ事が難しい時代に、子を守る為に死を選ばざるを得なかった。心に浮かぶ言葉をノートに書き留めるーそんな事さえ許されなかった“時代”、そして“今”。ただ女であるという理由だけで。

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